コールドロン
火山活動に関係して形成される凹地をカルデラというが、もともとは地形として認識できる場合に使われる用語であった。そのため、古い時代に形成された火山体で地形上の特徴が削剥されてわからなくなってしまった火山性陥没構造をコールドロンという。最近ではこれらの区別を厳密にしない傾向があり、すべて「カルデラ」と表現されている場合がしばしばみられる。
溶結凝灰岩
火砕流によりもたらされた堆積物が溶結作用を受けると、その程度により強溶結、弱溶結、非溶結凝灰岩となり、一般には強溶結凝灰岩をさしていう。おもに火山灰が集まって形成された岩石ではあるが、強く圧密化した岩石となり、きわめて堅硬な岩石となる。
中尾層
奥美濃酸性岩類のうち、板取川下流域の東側一帯に約10km×5kmの規模で北西~南東方向に伸びた形をなして分布する洞戸岩体(洞戸コールドロン)を構成する火山岩類の一つであり、その最下部層をなす。おもに非溶結の火砕岩類、流紋岩質の溶岩や湖成堆積物からなり、玄武岩質安山岩の溶岩や岩脈をともなう。
笠谷層
笠ヶ岳コールドロンを構成する火山岩類のうち第2期に形成されたもので、岩体の西部にあたる錫杖岳(標高2168m),大木場の辻(おおきばのつじ)(標高2232m)から笠谷流域へかけての地域に分布する。外側コールドロンを層厚約1,600mで厚く埋積し、おもに斑晶の乏しい流紋岩溶岩からなり、凝灰質の破砕屑岩層や溶結凝灰岩層をともない、ほぼ水平な構造を示す。分布域の西部ではコールドロンの床をなす飛騨帯構成岩類の飛騨花崗岩類を不整合に覆う。
穴毛谷層
笠ヶ岳コールドロンを構成する火山岩類のうち第3期に形成されたもので、岩体の東部にあたる穴毛谷(あなげだに)流域,笠ヶ岳・抜戸岳(ぬけどだけ)(標高2813m)の山腹にかけて分布する。内側コールドロンを層厚約1,500mで厚く埋積し、おもに3~4枚の溶結凝灰岩層とそれらの間に挟在する溶岩・ハイアロクラスタイト層からなり,これらがほぼ水平に堆積して明瞭な縞模様を形成しており、それらが新穂高ロープウェイ終点の西穂高口駅付近から遠望観察できる。コールドロン底部をなす第2期の笠谷層を穴毛谷下流部で覆い、内側コールドロンの北縁部にあたる抜戸岳付近では陥没壁の崩壊を示す陥没角礫岩層が最上部に挟まっている。
笠ヶ岳山頂溶結凝灰岩層
笠ヶ岳コールドロンを構成する火山岩類のうち最終期に形成されたもので、笠ヶ岳(標高2898m)山頂周辺と抜戸岳(標高2813m)山頂部だけに層厚170m以上で分布する。粗粒な結晶片に富む溶結凝灰岩からなり,下部では流紋岩質,上部に向かって流紋デイサイト質へと組成累帯を示す。
奥丸沢花崗岩
高原川支流の蒲田川上流部にある奥丸山(標高2439m)周辺から県境の西蒲尾根周辺へかけて東西約2km×南北約8kmの規模で南北方向に細長い岩株状の岩体として分布する。おもに中~細粒の黒雲母花崗岩からなり、石英斑岩から粗粒花崗岩までいろいろな岩相を示す。笠ヶ岳コールドロンを構成する火山岩類に密接にともなわれ、それらと複合岩体をなす深成岩体と考えられている。
熱変成作用
既存の岩石が熱いマグマと接触して岩石組織や組成を変えられてしまう現象で、接触変成作用ともいう。この作用で形成された岩石を熱変成岩あるいは接触変成岩といい、これを「ホルンフェルス」と呼ぶこともある。これはドイツ語で、ホルン=角のように固くなったフェルス=様子を意味しており、もともとは泥岩を源岩とする熱変成岩に用いられた用語であるが、すべての熱変成岩に用いられることが多い。熱をもたらすマグマは接触した岩石に熱を奪われて冷却していくから、熱変成作用は花崗岩体を形成するような大きな容量をもつマグマの周辺で起こりやすい。
地質年代