断層名 | 根尾谷断層(金原の谷) | ねおだにだんそう (きんばらのたに) |
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場所 | 本巣市金原 | |
概要 | 本巣市金原の集落がある谷は、北北西~南南東方向に約2kmにわたり直線状に延び、ここを根尾谷断層が通る。この谷は明瞭な谷地形を形成しているにも関わらず、それをもたらしたであろう河川の流れはまったくない。谷の北端にあたる峠部をダンド坂といい、その北側は急斜面で根尾川本流の谷に面しており、そこに北東側から金原谷と素振(すぶり)谷が根尾川本流へ流れ込んでいる。これらの谷は、もともとはダンド坂から金原の谷を約2km下った南端において西方へ流れ出ている鍋原(なべら)谷と一本の谷を形成していた。その流路が根尾谷断層の左横ずれ運動によりずらされていき、それが累積されて約2kmのずれを生じた時点で上流側が現在のように根尾川本流へ直接流れ込んでしまい、金原の谷には河川が流れなくなり涸れ谷になった。ここでは1891(明24)年に濃尾地震を起こして動いた際に平均4.3mの左横ずれを生じており、それは「金原横ずれ断層」として本巣市の天然記念物に指定されている。濃尾地震のような大地震を起こす1回の断層運動で仮に4mの横ずれを生じるとすると、2kmずれるのに500回の大地震を起こしてずれたことになる。トレンチ調査によればここでは平均すると1,000年あたり約2mの左ずれを起こしてきたことになり、その累積が2kmになるまでに約100万年かかることになる。 | |
ジオ点描 | 断層による1回の横ずれで4m移動したとすると、それが数百回も繰り返されればkm単位の地形変化をもたらすことになる。かなりの回数であり、あまり具体的に理解できることではなさそうである。100万年ほどの時間をかければ可能な数値かなと思うぐらいであろうが、そうした時間が大地の歴史においてはきわめて短時間であることを考えると、この程度の変化はごく普通に起きてしまうことも理解されよう。 | |
文献 |
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写真 | 本巣市金原における”金原の谷”の形成過程 (作成:小井土由光) |
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写真 | 金原における圃場整備後も残された根尾谷地震断層の左横ずれを示す道路の屈曲(2011年撮影) (撮影:小井土由光) |