断層名 | 根尾谷断層(概説) | ねおだにだんそう |
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場所 | - | |
概要 | 全長約80kmにわたり複数の活断層群からなる根尾谷断層系のうち、そのほぼ中央部において、岐阜・福井県境にある能郷(のうご)白山(標高1,617m)付近からほぼ根尾川沿いに南下し、岐阜市北端部に至る約35kmの長さをもつ活断層である。全体として左横ずれ変位が卓越し、北東側が沈降する縦ずれ変位をともなう運動を起こしている。比較的活発に動いてきた活断層であることもあり、しばしば根尾谷断層系とまったく同じ用語として使われて混乱を招いてしまうことがあり、厳密には明確に区別して扱う必要がある。1891(明24)年にとりあえず最後の活動を起こして濃尾地震をもたらした地震断層群は「濃尾地震断層系」、その中で根尾谷断層が動いた部分は「根尾谷地震断層」とそれぞれ呼んで区別すべきである。その代表例として通称「水鳥(みどり)の断層崖」があり、国の特別天然記念物に指定されているが、これも「根尾谷断層」と呼ばれることが多く、日本地質学会もここを“根尾谷断層”として「日本の地質百選」に選定している。このように「根尾谷断層」という用語はいろいろな対象に使われていることに注意する必要がある。 | |
ジオ点描 | 有名になってしまった名称は一人歩きをする傾向があり、本来の意味と大きく異なることはないが、似たような内容に拡大して使用されることが多いようである。日常会話においてはそれで通用する場合もあるが、とくに自然現象を表現するには混乱をもたらすことになりかねない。それを避けるために自然科学の世界で使用する用語はきちんと定義をしてから使用されるべきである。 | |
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写真 | 根尾水鳥の地震断層観察館におけるトレンチ北西断面 (撮影:小井土由光) |
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写真 | 日本の地質百選認定書(地震断層観察館入口にて撮影) (撮影:小井土由光) |