中津川市鉱物博物館
苗木花崗岩が広く分布する中津川市苗木地域は、滋賀県の田上(たなかみ)地域、福島県の石川地域と並んで日本三大鉱物産地として知られている。地元出身の長島乙吉・弘三親子が蒐集した標本「長島鉱物コレクション」を中津川市が寄贈を受け、それを基礎にして建設された博物館である。苗木地域から産出した鉱物と花崗岩を中心に中津川市周辺の地質をわかりやすく紹介した常設展示は見ごたえがある。企画展示、講演会、博物館教室、野外観察会などが随時開催され、鉱物の博物館としてきわめて貴重な存在となっている。
苗木花崗岩
中津川市苗木付近を中心に濃飛流紋岩の分布域の南部に広く分布し、中央部においても濃飛流紋岩の地下に広く伏在して分布する。濃飛流紋岩の少なくともNOHI-5までを貫き、NOHI-3、NOHI-4およびNOHI-5と火山-深成複合岩体を形成していると考えられている。塊状で、一部斑状の細粒~粗粒黒雲母花崗岩および角閃石含有黒雲母花崗岩からなり、放射線で黒~暗灰色になった石英を多く含み、脈状ないし晶洞状のペグマタイトに富むことを特徴とする。
ペグマタイト
花崗岩質の岩石に多く形成されるため巨晶花崗岩ともいう。花崗岩とほぼ同じ鉱物からなり、それらが著しく粗粒で、長石類と石英が文象構造をなしている岩石で、マグマが冷却固結していく過程で温度や圧力が低下し、鉱物中に取り込まれにくかったガス成分等がマグマ溜りの天井部に集まって空洞を形成し、そこに大きな結晶を成長させることで形成される。空洞内には鉱物に取り込まれずにマグマ中に残された元素が結びついて希産鉱物を作ることが多く、宝石あるいは鉱物標本として採取されたりする。
地質年代