油坂峠道路
郡上市と福井県大野市の境にある油坂峠(標高780m)へ向けて岐阜県側から標高差約420mの急勾配をループ状の高架橋とトンネルを組み合わせることで勾配を緩和しながら登坂していく道路である。高規格幹線道路である中部縦貫自動車道の一部となっており、白鳥町の街を高架橋で跨いで東海北陸自動車道とつながっている。峠への登坂部分はすべて美濃帯堆積岩類の上あるいは中を通っている。峠への道で旅人がだらだらと油汗をかいたことからこの名があるとの説があり、この急勾配は八幡断層の断層崖に相当し、その西側が上昇隆起する運動で形成されたものである。八幡断層はこの道路を横切っている。
阿寺断層系
阿寺断層系は、中津川市馬籠(まごめ)付近から北西へ向かって、同市坂下、付知町、加子母(かしも)を経て、下呂市萩原町の北方へ至る全長約70kmにも及ぶ日本でも第一級の活断層系である。ほかの大規模な活断層系と同様に、複数の断層が平行にあるいは枝分れして走っている。それらのうち、おおよそ中津川市と下呂市の境界にある舞台峠付近より南に分布する断層群を阿寺断層と呼び、それより北に分布する断層群にはそれぞれ別の名称がつけられている。大きくみると、阿寺断層系は、その北東側にある標高1500~1900mの山稜部を持つ比較的なだらかな阿寺山地とその南西側にある標高1000m前後の美濃高原との境界部にある断層帯で、両者はもともと一続きの地形であり、地形上の高度差700~800mがそのまま断層による縦ずれ移動量を示すが、それよりも10倍近くの大きさで左横ずれ移動量をもち、それは断層を境に河川の流路が8~10kmも隔てて屈曲していることに表れている。
地質年代