恵那山トンネル
中央自動車道の園原IC~中津川IC間にあり、開通当初は道路トンネルとして日本最長の長大トンネルであり、現在は全国で第5位である。恵那山(標高2191m)の北東にあたる富士見台高原(最高点1739m)の下を通っており、おおよそ岐阜県側は濃飛流紋岩のNOHI-1に属する恵那火山灰流シートの中を、長野県側はそれを貫く伊奈川花崗岩と苗木花崗岩の中をそれぞれ貫いている。ただし、トンネルが岐阜県側では阿寺断層と屏風山断層がぶつかる位置に、長野県側にも神坂(みさか)断層や清内路(せいないじ)峠断層などの多数の断層が通過する位置にそれぞれあったことで、工事は破砕帯の連続で難攻を極め、第1期で1967年から約8年を要した。
屏風山断層
屏風山断層は、阿寺断層系の南東端にあたる中津川市馬籠(まごめ)付近から、それに直交する東北東~西南西方向に瑞浪市南西部にかけて全長約32kmにわたり延びる。断層の南側には屏風山(標高794m)を最高峰とする標高750mほどの屏風山山塊が続き、その北側の急斜面が断層崖に相当しており、この壁が大地に作られた巨大な屏風のように見えることからその名がある。屏風山山塊を隆起させる縦ずれ運動は、南側の山塊が北側へ乗り上げる逆断層として起こり、そのため断層は山塊側から崩れてくる堆積物の下に埋もれてしまい、断層自体は限られた地点でしか観察できない。観察できる場所では、断層面が水平面から約60°の傾斜角で南へ向かって傾いており、その上側にある基盤の伊奈川花崗岩が下側にある瀬戸層群の土岐砂礫層の上に乗り上げている。なお、横ずれ運動もしており、断層を横切る河川流路に折れ曲がりがみられる。
地質年代