地 名 胡桃大滝 くるみおおたき
  場 所 高山市朝日町 秋神川上流・眞俣(しんまた)谷  指定等
   概 要
   御嶽山(標高3,067m)の北斜面を流れ下る秋神川支谷の眞俣谷における標高1,450m付近にある落差約43mの瀑布である。新期御嶽火山を構成する摩利支天火山群(約6万~2万年前)に属する噴出物に架かっている。滝の中ほどの高さに明確な境界が見られ、滝の落ち口と上半部が溶岩で、下半部が火山角礫岩でそれぞれ構成されており、前者よりも後者の削剥が勝って進行したことで瀑布が形成されたと考えられる。“胡桃”という名称は、クルミの大木があり、その跡が滝壺であったという故事に由来する。
 
朝日町の秋神川上流眞俣谷にある胡桃大滝
(撮影:鹿野勘次)
 
  ジオ点描
【火山体内の瀑布に共通】 瀑布というとほぼ垂直に落下するものを思い浮かべることが多い。とりわけ火山体の中に架かる場合にはほとんどがこれにあたる。降雨などの水量が多くなる立地環境に加えて、火山噴出物の中に相対的に堅硬な溶岩層などと軟弱な火山砕屑岩層などが積み重なっている場合がしばしばあり、削剥への抵抗力が極端に異なる地質環境が備わっているからである。
 
  文 献 山田直利・小林武彦(1988)御嶽山地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,136頁.
新期御嶽火山
御嶽火山において古期御嶽火山の活動終了後に約30万年にわたる長い静穏期を経て始まった活動で、現在の御嶽火山の中央部を構成する火山体を形成した。それらは活動の前半に形成された継母岳火山群と後半に形成された摩利支天火山群に分けられ、両者はほぼ連続的に起こったようであるが、噴出物の性質は明瞭に異なる。これらの活動では新期御嶽テフラ層と呼ばれる大量の降下火砕堆積物を噴出しており、有効な指標となる広域テフラとして中部・関東地方に広く火山灰層を飛ばしており、隣接する乗鞍火山がおもに溶岩を流出させていることと対照的な活動をしている。なお、その活動経過については、山麓部での降下火砕堆積物の層序解析などから異なる見解も出されている。
摩利支天火山群
新期御嶽火山の後半に活動した火山群で、前半の継母岳火山群の活動に引き続いて始まり、約10km³の安山岩質の噴出物を噴出して8つの成層火山をほぼ南北に重複するように形成し、現在の御嶽山頂上付近の地形をつくった。それらのうち末期の火山体が火口を明瞭に残している。この時期に発生した大規模な岩屑なだれ-泥流堆積物が木曽川泥流堆積物であり、山体の北東山麓から各務原市付近まで約200kmを流下している。最近の約2~3万年間は静穏期にあたっているが、その中でも最近の約6000年間に少なくとも5回の水蒸気爆発を起こしており、最新の爆発が1979年のものである(事項解説『災害』の項目「御嶽火山噴火」を参照)。



地質年代