新期御嶽火山
御嶽火山において古期御嶽火山の活動終了後に約30万年にわたる長い静穏期を経て始まった活動で、現在の御嶽火山の中央部を構成する火山体を形成した。それらは活動の前半に形成された継母岳火山群と後半に形成された摩利支天火山群に分けられ、両者はほぼ連続的に起こったようであるが、噴出物の性質は明瞭に異なる。これらの活動では新期御嶽テフラ層と呼ばれる大量の降下火砕堆積物を噴出しており、有効な指標となる広域テフラとして中部・関東地方に広く火山灰層を飛ばしており、隣接する乗鞍火山がおもに溶岩を流出させていることと対照的な活動をしている。なお、その活動経過については、山麓部での降下火砕堆積物の層序解析などから異なる見解も出されている。
摩利支天火山群
新期御嶽火山の後半に活動した火山群で、前半の継母岳火山群の活動に引き続いて始まり、約10km³の安山岩質の噴出物を噴出して8つの成層火山をほぼ南北に重複するように形成し、現在の御嶽山頂上付近の地形をつくった。それらのうち末期の火山体が火口を明瞭に残している。この時期に発生した大規模な岩屑なだれ-泥流堆積物が木曽川泥流堆積物であり、山体の北東山麓から各務原市付近まで約200kmを流下している。最近の約2~3万年間は静穏期にあたっているが、その中でも最近の約6000年間に少なくとも5回の水蒸気爆発を起こしており、最新の爆発が1979年のものである(事項解説『災害』の項目「御嶽火山噴火」を参照)。
巌立
御嶽山の西側斜面を流れ下る濁河(にごりご)川と椹(さわら)谷の合流点にある高さ約72m、幅約120mの大岩壁である。御嶽火山噴出物のうち新期御嶽火山を構成する摩利支天火山群に属する噴出物で、約54,000年前に約17km流れ下った安山岩質の溶岩流の末端部にあたる。岩壁は、溶岩が冷えて固まったときにできる柱状節理からなり、太さ数十cmの柱が並んでいるように見える。付近一帯は巌立峡と呼ばれ、三ツ滝など数多くの滝をもつ峡谷として知られている。
地質年代