地 名 阿弥陀ヶ滝 あみだがたき
  場 所 郡上市白鳥町前谷  指定等 日本の滝百選/県名水50選/県指定名勝
   概 要
   長良川最上流部に分布する大日ヶ岳火山はおおよそ100万年前ごろの比較的古い時期に形成された火山で、おもに溶岩層で構成されている。ただし、現在見られる山体は噴出物が順に積み重なって作り上げられている火山体ではなく、それらが削られかけた残骸として残っているものである。その南西部にあたる位置に分布している溶岩層に架かる落差約60m、幅約7mの名瀑である。かなりの水量を誇り、白山信仰における修験道の滝行を行なうことで知られている。723(養老6)年に白山を開山した泰澄(たいちょう)により発見されて「長滝」と名づけられたが、その後、室町時代の天文年間に当時の白山中宮長滝寺の僧道雅法師がこの滝の近くの洞窟で修行し護摩を焚いたところ、阿弥陀如来の姿が浮かびあがったところから現在のように呼ばれるようになったとされている。
 
白鳥町前谷にある阿弥陀ヶ滝
(撮影:藤岡比呂志)
 
  ジオ点描
【火山体内の瀑布に共通】 瀑布というとほぼ垂直に落下するものを思い浮かべることが多い。とりわけ火山体の中に架かる場合にはほとんどがこれにあたる。降雨などの水量が多くなる立地環境に加えて、火山噴出物の中に相対的に堅硬な溶岩層などと軟弱な火山砕屑物などが積み重なっている場合がしばしばあり、削剥への抵抗力が極端に異なる地質環境が備わっているからである。
 
  文 献
大日ヶ岳火山
長良川の最上流部域にあって、大日ヶ岳(標高1709m)を中心に南北約8km、東西約10kmに広がる火山体であり、復元総体積は約16km³とされている。おもに比較的小規模な安山岩質の溶岩層からなることを特徴としている。山頂部付近の2ヶ所に火口跡と推定されている凹地があり、すべてそれらから噴出したと考えられている。火砕流堆積物や火山角礫岩などの火砕岩は少ない。九頭竜火山列の火山体の中では比較的若い時期に活動した火山である。




地質年代