地 名 夕森公園 ゆうもりこうえん
  場 所 中津川市川上(かわうえ)  指定等 県立自然公園/県名水50選
   概 要
   岐阜県の東部を北西~南東方向に延びる阿寺(あてら)断層がその北東側を上昇させたことにより阿寺山地が形成されており、その比較的南部において川上川が深く刻み込んだことでできた渓谷である。同様の形成過程をたどった付知川上流の付知峡濃飛流紋岩の中だけを刻んでいるが、ここでは上流部が濃飛流紋岩の中を、下流部が苗木花崗岩の中をそれぞれ刻んでおり、渓谷の様相が若干異なる。花崗岩分布域には岐阜の名水50選に選ばれている竜神の滝(落差約12m)、濃飛流紋岩分布域には銅穴(どうこう)の滝(同約17m)といった瀑布が作られ、そのほかにも忘鱗の滝(同約20m)・アゼ滝(全容不明)・一つ滝(同約18m)などの瀑布があり、滝めぐりが楽しめる。キャンプ場や秋の紅葉など清流を楽しみながらの自然公園となっている。
 
中津川市川上の夕森渓谷にある銅穴の滝
(撮影:中田裕一)
 
  ジオ点描
【乙女渓谷と共通】 阿寺断層の北東側に広がる阿寺山地はその南西斜面で断層崖にあたる急崖を形成していることが多い。しかし、実際には加子母川(東本谷)より北西側の下呂市側では山塊のかなり内部まで開析が進んでおり、急崖地形を残しているのは南東側の中津川市側の地域である。そのため深く削り込んで作られる峡谷や落差の大きい瀑布が作られている景勝地は後者の地域にほぼ限られる。
 
  文 献 山田直利・小井土由光・原山 智・棚瀬充史・鹿野勘次・田辺元祥・曽根原崇文(2005)濃飛流紋岩の火山層序.地団研専報,53号,29-69頁.
阿寺断層
阿寺断層系は、中津川市馬籠(まごめ)付近から北西へ向かって、同市坂下、付知町、加子母(かしも)を経て、下呂市萩原町の北方へ至る全長約70kmにも及ぶ日本でも第一級の活断層系である。ほかの大規模な活断層系と同様に、複数の断層が平行にあるいは枝分れして走っている。それらのうち、おおよそ中津川市と下呂市の境界にある舞台峠付近より南に分布する断層群を阿寺断層と呼び、それより北に分布する断層群にはそれぞれ別の名称がつけられている。大きくみると、阿寺断層系は、その北東側にある標高1500~1900mの山稜部を持つ比較的なだらかな阿寺山地とその南西側にある標高1000m前後の美濃高原との境界部にある断層帯で、両者はもともと一続きの地形であり、地形上の高度差700~800mがそのまま断層による縦ずれ移動量を示すが、それよりも10倍近くの大きさで左横ずれ移動量をもち、それは断層を境に河川の流路が8~10kmも隔てて屈曲していることに表れている。
付知峡
阿寺(あてら)断層がその北東側を500~800mほど上昇させたことにより形成された阿寺山地の中を付知川が深く刻み込んだことで作られた峡谷である。そこを構成する岩石はすべて濃飛流紋岩の溶結凝灰岩であり、新鮮で硬硬な岩盤を刻んで深い渓谷をつくり、“青川”とも呼ばれるほど澄み切った急流となって流れ下っている。不動滝(落差約8m)、観音滝(同約30m)、仙樽(せんだる)の滝(同約15m)、高樽(たかだる)の滝(同約30m)などの数多くの瀑布を作っており、県を代表する紅葉の名所としても知られる。ここから長野県側の王滝村にかけての地域には、江戸時代から保護政策下におかれてきた手つかずのヒノキの原生林が残されている。
濃飛流紋岩
濃飛流紋岩は、岐阜県の南東端にあたる恵那山(標高2191m)付近から北部の飛騨市古川町付近へかけて、幅約35km、延長約100kmにわたり北西~南東方向にのび、岐阜県の約1/4の面積を占める巨大な岩体である。この岩体を構成する岩石のほとんどは、火砕流として流れ出た火山砕屑物がたまって形成された火砕流堆積物からなり、しかもその大部分は堅硬に固結した溶結凝灰岩になっており、厚さ数百mで、水平方向へ20~60kmの広がりをもち、岩相・岩質が類似した火山灰流シートとして何枚にもわたって重なりあっている。それらは大きく6つの活動期(NOHI-1~NOHI-6)に区分されており、岐阜県内にはNOHI-6だけが分布しない。これらの火山岩類には花崗岩類が密接にともなわれ、それらを含めて大きく2期(第1期火成岩類・第2期火成岩類)に分けられる火山-深成複合岩体を形成している。第1期の活動は白亜紀後期の約8,500万~8,000万年前にあり、NOHI-1とNOHI-2の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。第2期の活動は約7,500万~6,800万年前にあり、NOHI-3~NOHI-5(おそらくNOHI-6)の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。これらは活動の場所を南部から北部へと移しながら巨大な火山岩体を作り上げた。
苗木花崗岩
中津川市苗木付近を中心に濃飛流紋岩の分布域の南部に広く分布し、中央部においても濃飛流紋岩の地下に広く伏在して分布する。濃飛流紋岩の少なくともNOHI-5までを貫き、NOHI-3、NOHI-4およびNOHI-5と火山-深成複合岩体を形成していると考えられている。塊状で、一部斑状の細粒~粗粒黒雲母花崗岩および角閃石含有黒雲母花崗岩からなり、放射線で黒~暗灰色になった石英を多く含み、脈状ないし晶洞状のペグマタイトに富むことを特徴とする。

地質年代