地 名 ひるがの湿原 ひるがのしつげん
  場 所 郡上市高鷲町ひるがの  指定等 飛騨・美濃紅葉33選(ひるがの高原)
   概 要
    長良川最上流部をなす大日ヶ岳(標高1,709m)の北東麓に広がる「ひるがの高原」は標高850~900mにあり、その南端に長良川水系と庄川水系を分ける分水嶺があり、国道156号沿いに「分水嶺公園」がある。高原一帯は夏の避暑地、秋の紅葉狩り、冬のスキー場としてよく知られており、その一画に広がっている湿原である。この湿原は高層湿原としては本州最南端にあり、ここでは寒冷地のために分解されずに蓄積されていった植物が約7,000年前から徐々に炭化して約2mの厚さの泥炭層を形成しており、地表では春のミズバショウが楽しめる。もともとは“蛭ヶ野”と書いたが、最近では平仮名表記されることが多い。
 
ひるがの湿原のミズバショウと遠景の大日ヶ岳
(撮影:鹿野勘次)
 
  ジオ点描
   かつては「ひるがの高原」のほぼ全域が湿原であったとされ、別荘地などの開発が進むとともに徐々に狭まってきている。それでも高層湿原特有の植物群が湿原を広く覆っており、それらは「蛭ヶ野高層湿原植物群落」として1970(昭45)年に県の天然記念物に指定されている。この湿原は大日ヶ岳火山の東端付近に広がっており、その基底部付近から供給される豊富な水が湿地の水源の1つとなっていると考えられる。
 
  文 献 下野 洋・藤 則雄(1972)岐阜県蛭ヶ野高原の第四紀泥炭層の地質学的・花粉学的研究.第四紀研究,11巻,181-192頁.
高層湿原
湿った低温の土壌に形成され、枯死した植物の分解が進まないために泥炭として堆積している草原を湿原といい、周囲に対する高さにより低層・中間・高層湿原の3タイプに区分される。それらは構成植物や生態条件などの違いにより形成されていき、高層湿原は、低温で周囲からの流水が少なく、栄養塩類が少ないことで、ミズゴケなどの植物が泥炭化して中央部に高まりができる。
大日ヶ岳火山
長良川の最上流部域にあって、大日ヶ岳(標高1709m)を中心に南北約8km、東西約10kmに広がる火山体であり、復元総体積は約16km³とされている。おもに比較的小規模な安山岩質の溶岩層からなることを特徴としている。山頂部付近の2ヶ所に火口跡と推定されている凹地があり、すべてそれらから噴出したと考えられている。火砕流堆積物や火山角礫岩などの火砕岩は少ない。九頭竜火山列の火山体の中では比較的若い時期に活動した火山である。



地質年代