緑色岩(玄武岩質火山岩類)
美濃帯堆積岩類において、ペルム紀に海底に噴出して形成された火山島を作った岩石であり、枕状溶岩として産することもある。変質して緑色を帯びることが多いためこの名があり、かつては“輝緑凝灰岩”と呼ばれていたこともある。それらが海山を構成し、その上に形成されたサンゴ礁が石灰岩にあたることで、それらと密接にともなって産することが多い。ともに美濃帯堆積岩類において最も古い時期の岩石である。
石灰岩
美濃帯堆積岩類の中には、金生山の赤坂石灰岩、舟伏山地域の舟伏山石灰岩、石山地域の石山石灰岩などと呼ばれる比較的大きな石灰岩の岩体が分布しており、石灰石資源として採掘されていたり、場所によっては鍾乳洞地帯を形成している。古生代のペルム紀に形成された緑色岩(玄武岩質火山岩類)からなる海山を覆うサンゴ礁を構成していた石灰質生物の遺骸が集積して形成されたものであり、一般に緑色岩と密接にともなって美濃帯堆積岩類の中では最も古い時期に形成された岩石である。
チャート
一般には硬く緻密な微粒珪質堆積岩の総称であり、美濃帯堆積岩類を構成する主要な岩石の一つとして特徴的に産する。厚く層状に分布することが多く、これを層状チャートと呼ぶ。一部に古生代ペルム紀のものも含まれるが、ほとんどは中生代三畳紀~ジュラ紀前期に海底に堆積した放散虫などのプランクトンからなる遠洋性の堆積物で、陸源砕屑物をまったく含まない。
珪質泥岩
美濃帯堆積岩類において、チャートほど珪質で堅硬ではないが、珪酸(SiO₂)分に富む細粒で緻密な岩石である。層状チャートの上位に整合に重なり、密接にともなわれることが多い。現在の深海底にみられるマンガン団塊も含まれることがあり、放散虫化石や陸源砕屑粒子が混じりあった半深海性の堆積物を表わしており、海洋プレートが大陸縁辺に近づきつつある時期の堆積物である。
メランジュ
もともとは混合を意味するフランス語であり、いろいろな種類の岩石が複雑に混じりあった地質体を指し、プレートの沈み込みにともなう構造運動で変形した岩石類にあてはめて用いることが多い。美濃帯堆積岩類においては、泥岩の基質中に石灰岩・緑色岩・チャート・珪質泥岩・砂岩などからなるさまざまな大きさの礫あるいは岩塊を異地性岩体として数多く含む地質体である。海洋プレート上に載った堆積物が海溝部で付加される過程のほかに、海底地すべりや断層に沿う破断作用などの過程が複合されて形成されると考えられている。
十二ヶ岳層
高山市丹生川町の十二ヶ岳(標高1326m)北方斜面に分布し、層厚350m以上で、おもに泥岩、砂岩、珪長質凝灰岩からなり、ペルム紀の放散虫化石を含む。周辺に分布する美濃帯堆積岩類が異地性岩体を含むメランジュを主体とする中生代ジュラ紀の付加体であるのに対して、この地層は異地性岩体を含まず、古生代ペルム紀の地層で構成されていることで明確に区別され、超丹波帯に属する地質体とされた。
地質年代