ミグマタイト
岩石標本の大きさにおいて変成岩的な部分と優白質の花崗岩的な部分とが入り混じりあったように見える岩石で、境界が比較的明瞭で角ばった変成岩の岩片を含むもの(アグマタイト)から、境界が不明瞭でほとんど花崗岩と区別できないようなもの(シュリーレン)までさまざまな形態がある。片麻岩と花崗岩が混在して分布するような高温状態の変成作用を受けた地帯にしばしば産出し、花崗岩が変成岩を同化していく過程を示すもの、堆積岩など既存の岩石が変成作用を受けて部分的に溶け出す過程を示すものなどいろいろな成因説がある。
片麻状構造
等粒状完晶質の岩石において、片理をもつ有色鉱物に富む優黒質部と粗粒の無色鉱物に富む優白質部の互層からなる縞状構造が顕著になったもの。必ずしも片麻岩に使う用語ではなく、花崗岩の組織を表現する場合にしばしば用いられる。
縞状片麻岩
おもに岐阜県最北部にあたる宮川以西の万波川から小鳥(おどり)川以北の地域に広く分布し、花崗岩質片麻岩の分布域にほぼ重なる地域に分布する。細粒の黒雲母片麻岩・角閃石片麻岩・単斜輝石片麻岩が厚さ数cmの互層をなし、それらが縞状をなす岩石である。野外では、しばしば花崗岩質片麻岩などの脈状岩を密接にともない、その中に岩片として包有されるが、それらは地質図上で区別して表現できないため省略してある。また、これらの中にはアルミナ成分に富む泥質岩起源の片麻岩も含まれており、コランダム(ルビー)を含む片麻岩も見られる。
伊西ミグマタイト
神岡町伊西地域から神岡鉱山周辺、神岡町西部の流葉山(ながれはやま)(標高1423m)周辺などにややまとまって分布するが、一般には石灰岩~石灰珪質片麻岩にともなって幅数cm~数mの脈状ないし不規則なプール状に小規模な岩体として分布する。角閃岩や角閃石片麻岩の岩片を包有し、ミグマタイト構造を作り、緑色短柱状の透輝石(~サーラ輝石)を含む粗粒~細粒、塊状~片麻状組織の珪長質岩で、神岡付近ではカリ長石に富み、当初「伊西閃長岩」と呼ばれたが、岩相変化が大きく、神岡鉱山の技術者により産状に基いて伊西ミグマタイト(または伊西岩)と呼ばれるようになった。
地質年代