地層名 高賀花崗岩・岩脈類 こうかかこうがん・
がんみゃくるい
OKg
  代表地点 関市板取白谷  形成時期 古第三紀
   概 要
   板取川流域にあたる関市板取白谷地区からその東方へかけての地域に分布する。奥美濃酸性岩類の洞戸(ほらど)岩体(洞戸コールドロン)の西部に東西約4km×南北約2.5kmの規模で貫入し、周囲の火山岩類に強い熱変成作用を与えている。優白質の中粒黒雲母花崗岩~花崗斑岩からなり、全体として花崗斑岩相が卓越し、暗灰色の細粒捕獲岩を多量に含む。洞戸コールドロンを構成する火山岩類と密接にともなわれ、それらの給源に上昇したマグマ溜りであると考えられている。
 
関市板取白谷に露出する高賀山花崗岩
(撮影:棚瀬充史)
 
  文 献 棚瀬充史・笠原芳雄・原山 智・小井土由光(2005)濃飛流紋岩周辺地域の後期白亜紀~古第三紀火山岩類.地団研専報,53号,159-171頁. 関市板取白谷に露出する高賀花崗岩中の暗色包有物
(撮影:棚瀬充史)
 
奥美濃酸性岩類
奥美濃酸性岩類は,岐阜県北西部の奥美濃地方から福井県東部の奥越地方にかけて分布する火山岩類およびそれに密接に付随する貫入岩類の総称である。火山岩類は、おもに流紋岩~流紋デイサイト質の溶結~非溶結凝灰岩からなり、流紋岩質の溶岩や凝灰角礫岩、デイサイト~安山岩質の溶岩や火砕岩のほか、一部で玄武岩質安山岩の溶岩や湖成堆積物をともなう。貫入岩類は、火山岩類と複合岩体を形成して個々の岩体の給源域を埋めるように、あるいはコールドロンの縁に沿って分布し、花崗岩、トーナル岩、花崗閃緑斑岩、石英斑岩などからなる。見かけ上、7つの岩体(洞戸(ほらど)・板取(いたどり)・明石谷(あけしだに)・面谷(おもだに)・入谷(にゅうだに)・八幡(はちまん)・柳島山(やなぎしまやま)岩体)に分かれて分布し、それぞれ独立した活動史をもつように見えるが、全体に火山体の深部が露出しており、洞戸・柳島山岩体は「洞戸コールドロン」と呼ばれる陥没体内に埋積した火山岩であり、板取岩体はコールドロンの外に溢流した火山岩であると考えられている。八幡岩体を構成する火山岩類は、東隣に分布する濃飛流紋岩のNOHI-3あるいはNOHI-4に相当していると考えられているため、『濃飛期火成岩類』の項目で扱う。
熱変成作用
既存の岩石が熱いマグマと接触して岩石組織や組成を変えられてしまう現象で、接触変成作用ともいう。この作用で形成された岩石を熱変成岩あるいは接触変成岩といい、これを「ホルンフェルス」と呼ぶこともある。これはドイツ語で、ホルン=角のように固くなったフェルス=様子を意味しており、もともとは泥岩を源岩とする熱変成岩に用いられた用語であるが、すべての熱変成岩に用いられることが多い。熱をもたらすマグマは接触した岩石に熱を奪われて冷却していくから、熱変成作用は花崗岩体を形成するような大きな容量をもつマグマの周辺で起こりやすい。



地質年代