大雨見山層群
飛騨市古川町東部から高山市上宝町東部へかけての地域に飛騨外縁帯構成岩類、美濃帯堆積岩類、手取層群を不整合に覆って約22kmにわたりほぼ東西方向に分布する。流紋岩質の溶結凝灰岩など南隣に約4km隔てて分布する濃飛流紋岩に類似した岩石類からなるが、流紋岩溶岩、玄武岩質安山岩溶岩なども見られる。下位から、宮谷川層、明ヶ谷溶結凝灰岩層、木地屋層の3層に区分され、上部層ほど岩体の東部に分布する。
木地屋層
大雨見山層群の岩体東半部に広く分布し、層厚は430m以上で、緻密な安山岩質溶岩、球顆を含む流紋岩質溶岩、凝灰質の砕屑岩層、玄武岩質安山岩溶岩などからなる。
明ヶ谷溶結凝灰岩層
大雨見山層群の岩体西半部に広く分布し、一部は東半部の国見山(標高1318m)南西部にも分布する。おもに粗粒の結晶片に富む流紋岩質の溶結凝灰岩からなり、層厚は300m以上で、大雨見山層群の中で最大規模をなすユニットである。基底部に黒色、緻密で黒曜石のような光沢をもつ溶結凝灰岩をともなう。
熱変成作用
既存の岩石が熱いマグマと接触して岩石組織や組成を変えられてしまう現象で、接触変成作用ともいう。この作用で形成された岩石を熱変成岩あるいは接触変成岩といい、これを「ホルンフェルス」と呼ぶこともある。これはドイツ語で、ホルン=角のように固くなったフェルス=様子を意味しており、もともとは泥岩を源岩とする熱変成岩に用いられた用語であるが、すべての熱変成岩に用いられることが多い。熱をもたらすマグマは接触した岩石に熱を奪われて冷却していくから、熱変成作用は花崗岩体を形成するような大きな容量をもつマグマの周辺で起こりやすい。
文象組織
マグマの最終固結期に長石類と石英が同時に晶出することで、長石の結晶中にクサビ形文字状に石英が連晶してできる構造で、花崗岩質岩石に見られる。連晶が顕微鏡スケールで確認できるような場合は微文象構造という。
地質年代