施設名 地震断層観察館 じしんだんそうかんさつかん
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場所 本巣市根尾水鳥(みどり)512
電話 0581-38-3560
HP https://www.city.motosu.lg.jp/0000001399.html
管理者 本巣市
開館年月 1992(平4)年3月
施設概要    根尾谷断層水鳥の断層崖においてトレンチ調査をした際に掘削された断面をそのまま保存し、展示することを目的とした施設で、濃尾地震100周年を記念して当時の根尾村により建設された。約20m四方を深さ8mで“すり鉢状”に掘削して約6mの縦ずれ断層が鮮明に観察でき、しかも掘削断面をピラミッド型の屋根で覆って保存しており、こうした施設は世界初と言われているきわめて貴重な施設である。この「地下観察館」のほかに、各種の地震資料や断層形成のメカニズムを常設展示しているスペースに、200インチ大型画面を備えた 50人収容ホールをもつ円形ドーム型の「地震資料館」、3Dシアターで震度4〜5の揺れを体験できる映画を上映している「地震体験館」の3施設からなる。
ジオ点描    巨大地震をもたらした活断層のうち具体的な日時・場所・規模が明確にわかっている断層はそれほど多くない。しかも、地表だけでなく地下での様子も直接みることができる断層はかなり限られ、それだけ貴重である。なぜなら、実際にみられる断層の地下断面は通常では地下深くにあって見ることができない地震の震源面の一部にあたり、そこをのぞいていることになるからある。
出版物
  • 写真 地震断層観察館の外観
    (撮影:小井土由光)
    写真 準備中
    根尾谷断層
    根尾谷断層は、全長約80kmにわたり複数の活断層群からなる根尾谷断層系のうち、岐阜・福井県境にある能郷(のうご)白山(標高1617m)付近からほぼ根尾川沿いに南下し、岐阜市北端部に至る約35kmの長さをもつ活断層である。全体として左横ずれ変位が卓越し、北東側が沈下する縦ずれ変位をともなう運動を起こしている。根尾谷断層系のほぼ中央において比較的活発に動いてきた断層であることもあり、しばしば「根尾谷断層系」とまったく同義に使われて混乱を招いており、厳密には明確に区別して扱う必要がある。1891(明24)年にとりあえず最後の活動を起こして濃尾地震をもたらし、その際に形成された地表の変位を「根尾谷地震断層」と呼び、その代表例が国の特別天然記念物に指定されている通称「水鳥(みどり)の断層崖」である。これも単に“根尾谷断層”と呼ばれることが多く、日本地質学会もここを“根尾谷断層”として「日本の地質百選」に選定している。
    水鳥の断層崖
    根尾谷断層が1891(明24)年に動いたことで形成された根尾谷地震断層を代表する場所であり、国の特別天然記念物「根尾谷断層」として指定されており、約500mにわたり約6mの縦ずれにより形成された断層崖である。根尾谷断層における主要な動きは左横ずれであり、縦ずれがあった場合にはそのほとんどで南西側が隆起している。ところが、この崖では逆に北東側が隆起しており、同時に2~3mの左横ずれも起こした。この付近では断層崖を形成した断層の東側にもう一本の断層が約400m離れてほぼ平行に走り、それらがともに左横ずれを起こすと、断層にはさまれた部分では北西と南東へ向かう動きが衝突することになる。それを解消するために、東西方向の断層をつくって地盤を上昇せざるを得なくなる。この断層崖は濃尾地震断層系を象徴する場所になっているが、全体としてみるとかなり局地的で特殊な原因で起こった縦ずれ運動で形成されたことになる。なお、この断層崖の地下の様子は「地震断層観察館」で見学できる。
    濃尾地震
    濃尾地震は根尾谷断層系の温見(ぬくみ)断層、根尾谷断層、梅原断層などが同時に動いたことで発生し、内陸地震としては国内で最大級の規模をもつ地震である。明治時代に入ってから起こったこともあり、大地に現れた地震断層ばかりでなく、被害の状況も詳細な記録として残されている。この地震により、美濃地方で死者4,889人、負傷者12,311人、全壊70,048戸、半壊30,994戸という被害がもたらされた。全国規模でも、死者7,273人という多大な被害を受けたばかりでなく、当時としての先端技術であった鉄道や煉瓦作りの建物に甚大な被害を受けたことで、富国強兵に邁進していた明治政府にとって大きな打撃となった。この災害を契機として耐震構造への関心が強まり、その研究が大きく進展していったり、この地震後に震災予防調査会が設置され、日本における本格的な地震研究がスタートした。


    地質年代