名称 | 大白川岩屑流堆積物 | おおしらかわがんせつりゅうたいせきぶつ |
地図 | 地図を見る | |
場所 | 白川村平瀬 | |
形成時期 | 完新世(約4400年前) | |
概要 | 白山火山のうち新白山火山の活動において、約4,400~4,500 年前に山頂付近の東側が大規模に崩壊し、大量の崩落物が東へ向かって大白川の谷を流下したもので、本流の庄川にまで流れ込んだ。この崩壊によって白山の山頂付近には大汝峰(おおなんじみね;標高2,684m)から剣ヶ峰(同2,677m)へ連なる峰に縁取られた東へ開いた馬蹄形の凹地が生まれ、大白川の谷はその堆積物により約100mの厚さで埋めつくされたと考えられている。この堆積物は全体にわたって激しい硫化変質を受けており、ところどころに硫黄の結晶が見られたり、黄鉄鉱が点在していたりする。また堆積物中には巨大な岩塊があまり見られず、円礫が含まれている。これらのことは、大量の水とともに火山噴出物が流れ下る火山泥流により運ばれたものではなく、激しい硫化変質を受けやすい火口に近い山頂部付近が崩壊しやすい状態に置かれていたことや堆積物がかなり長距離にわたり移動できるような移動機構をもつ岩屑なだれで運ばれたことを示している。ただし、山体崩壊をもたらした要因が火山爆発にあったとする噴出物などの証拠は認められておらず、地震に誘発されて起こった可能性もある。なお、崩壊により生まれた馬蹄形凹地の中央に新たな噴火が約2,200年前に起こり、白水滝(しらみずのたき)の架かる白水滝溶岩が流出するとともに剣ヶ峰溶岩ドームが形成された。 | |
ジオ点描 | 火山体は硬い、柔らかい、透水性、非透水性などいろいろな性質をもつ岩石の集合体である。均質な溶岩もあれば、ガサガサとした火山砕屑岩もある。それらが不均等に積み重なっているからかなり脆弱な地質体となる。そのためわずかな力が内部あるいは外部から加わるとすぐに崩壊する宿命をもっている。それらが高低差をもって分布していることも勢いのある崩壊物を生み出す原因となる。 | |
文献 |
|
|
写真 | 白川村の国道156号大白川橋脇に露出する大白川岩屑流堆積物 (撮影:岩田 修) |
|
写真 | 準備中 |