名称 長良隕石 ながらいんせき
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場所 岐阜市長良
形成時期 不明
概要    2012(平24)年10月頃、岐阜市内の畑地で15cm×20cm×15cmの大きさ、6.5kgの重さの岩塊として発見され、2017(平29)年夏に正式に分析されて鉄隕石(隕鉄)であることが明らかとなつた。この隕石は同年12月に国際隕石学会の隕石命名委員会へ隕石登録が行われ、「長良隕石」として承認された。分析結果によるとカマサイトと呼ばれる鉄ニッケル合金(鉄:約93%、ニッケル:約6%、コバルト:約0.6%)が主要な構成鉱物であるが、鉄ニッケル合金相にみられる離溶組織(ウィドマンシュテッテン構造)がみられないことからヘキサヘドライトと呼ばれる鉄隕石の仲間に属する。これは1913(大2)年に発見された鉄隕石である「坂内隕石」と同じ種類の可能性がある。なお、2018(平30)年春になって「長良隕石」の発見場所の近傍から別の鉄隕石(重さ9.7kg)が発見されているとの情報があり、“2個目の「長良隕石」”となっている。
ジオ点描    隕石は珪酸塩鉱物と金属鉄(鉄ニッケル合金)の比率で大きく石質隕石、石鉄隕石、鉄隕石に分けられる。これらのうち鉄隕石はおもに金属鉄から成り、分化した天体の金属核に由来する。地上に落ちてくる隕石の94%は石質隕石であり、鉄隕石の割合は5%以下である。しかし、見つかった隕石の40%は鉄隕石である。これは金属鉄が目につきやすいことや金属探知機で容易に発見できるためとされている。
文献
  • 国立極地研究所HP(長良隕石):https://www.nipr.ac.jp/info/notice/20180301.html
  • 写真 最初に発見された長良隕石(金属光沢部は分析用にカットされた面)
    (個人所蔵、撮影:棚瀬充史)
    写真 準備中
    美濃帯堆積岩類
    美濃帯は、飛騨外縁帯の南側にあってかなり幅広く分布する地質帯で、岐阜県内でも広範囲にわたる地域を占める。そこは、古生代石炭紀から中生代白亜紀最前期にかけての時期にチャート・石灰岩・砂岩・泥岩・礫岩などの海底に堆積した堆積岩類と海底に噴出した緑色岩(玄武岩質火山岩類)でおもに構成されている。下図に示すように、海洋プレートの上に噴出した玄武岩質火山岩類は海底や火山島(海山)を形成して、その上にチャートや石灰岩・珪質泥岩などを徐々に堆積させながら大陸へ向かって年間数cmほどの速さで移動していく。海洋プレートは海溝部で大陸の下へ沈み込んでいくが、堆積物はいっしょに沈み込むことができず、はぎ取られたり、大陸側から運び込まれた砂岩・泥岩などとともに大陸側へ押し付けられ、混じり合って複合体(コンプレックス)を作りあげていく。こうした作用を付加作用といい、それにより形成された堆積物は付加体堆積物と呼ばれ、これまでそれらを総称して「美濃帯中・古生層」、「美濃帯中生層」、「美濃帯堆積岩コンプレックス」などといろいろな表現で呼ばれてきたが、ここではこれらを「美濃帯堆積岩類」と呼ぶ。それらは、それまで順に重なっていた地層が付加作用にともなって低角の断層を境にして屋根瓦のように繰り返して覆うように重なったり、複雑に混じりあったメランジュと呼ばれる地質体を構成し、整然とした地層として順番に連続して重なるようなことがほとんどない。そのため全域にわたり個々の地層名を付して表現することがむずかしいため、ここでは構成岩石の種類(岩相)によって表現する。これらの構成岩石は単独でも複数の組合せでもある程度の大きさを持つ地質体を形成しており、その大きさはcmオーダーの礫からkmオーダーの岩体までさまざまである。これらは岩相、形成時期、形成過程などの類似性から複数の地質ユニットに区分され、ユニット間は衝上断層で接することが多いが、その区分による表現はここでは用いない。
    チャート
    一般には硬く緻密な微粒珪質堆積岩の総称であり、美濃帯堆積岩類を構成する主要な岩石の一つとして特徴的に産する。厚く層状に分布することが多く、これを層状チャートと呼ぶ。一部に古生代ペルム紀のものも含まれるが、ほとんどは中生代三畳紀~ジュラ紀前期に海底に堆積した放散虫などのプランクトンからなる遠洋性の堆積物で、陸源砕屑物をまったく含まない。
    珪質泥岩
    美濃帯堆積岩類において、チャートほど珪質で堅硬ではないが、珪酸(SiO₂)分に富む細粒で緻密な岩石である。層状チャートの上位に整合に重なり、密接にともなわれることが多い。現在の深海底にみられるマンガン団塊も含まれることがあり、放散虫化石や陸源砕屑粒子が混じりあった半深海性の堆積物を表わしており、海洋プレートが大陸縁辺に近づきつつある時期の堆積物である。


    地質年代