名称 長島鉱物コレクション ながしまこうぶつこれくしょん
地図 地図を見る
場所 中津川市苗木639-15 中津川市鉱物博物館内
形成時期 -
概要    中津川市苗木は苗木花崗岩にともなわれるペグマタイト鉱物を多く産出し、日本でも有数の鉱物産地として知られる。そこに生まれ、幼少の時から鉱物に興味をもち、アマチュア鉱物研究者として学界に多くの功績を残した長島乙吉氏(1890~1969)と子息の地球化学者・長島弘三博士(1925~1985)が収集した鉱物標本のコレクションである。当初は1964(昭39)年12月に中津川市(約1,700点)・旧蛭川(ひるかわ)村(約1,000点)・県立中津高等学校(約680点)の三者に分割して寄贈されたが、現在はそれらがまとめられて中津川市鉱物博物館に収蔵されている。地殻中の存在量が少ないか、存在量は多くてもまとまった鉱床をつくることが少ない元素を希元素といい、それを含む「希元素鉱物」が多く収集されていることを特徴としており、この他にウラン鉱物(閃ウラン鉱・燐灰ウラン石など)、希土類元素鉱物(褐簾(かつれん)石・モナズ石など)、ジルコニウム鉱物(ジルコン)、ベリリウム鉱物(緑柱石)などが収集されている。これらの鉱物の多くは苗木花崗岩中のペグマタイトからのものであるが、それ以外の地域からも集められている。
ジオ点描    全国各地に鉱物マニアといわれる方々がおり、それぞれに立派なコレクションをお持ちのことと思われる。趣味の世界に理屈はないから鉱物収集の理由をあげても無意味であろうが、やはり鉱物には地球が作り出した造形美といえる形態や色調などから受ける無機的な美しさがある。そこにマニアにとっての収集の出発点がありそうで、さらには稀少価値が加わわることで収集の醍醐味が加わるのであろう。
文献
  • 長島鉱物コレクションデータベース https://city.nakatsugawa.gifu.jp/museum/db/top.html
  • 写真 中津川市鉱物博物館に展示されている長島鉱物コレクションの鉱物類(苗木地域以外から産出した鉱物も含まれる)
    (提供:中津川市鉱物博物館)
    写真 長島乙吉氏
    (提供:中津川市鉱物博物館)
    中津川市鉱物博物館
    苗木花崗岩が広く分布する中津川市苗木地域は、滋賀県の田上(たなかみ)地域、福島県の石川地域と並んで日本三大鉱物産地として知られている。地元出身の長島乙吉・弘三親子が蒐集した標本「長島鉱物コレクション」を中津川市が寄贈を受け、それを基礎にして建設された博物館である。苗木地域から産出した鉱物と花崗岩を中心に中津川市周辺の地質をわかりやすく紹介した常設展示は見ごたえがある。企画展示、講演会、博物館教室、野外観察会などが随時開催され、鉱物の博物館としてきわめて貴重な存在となっている。
    苗木花崗岩
    中津川市苗木付近を中心に濃飛流紋岩の分布域の南部に広く分布し、中央部においても濃飛流紋岩の地下に広く伏在して分布する。濃飛流紋岩の少なくともNOHI-5までを貫き、NOHI-3、NOHI-4およびNOHI-5と火山-深成複合岩体を形成していると考えられている。塊状で、一部斑状の細粒~粗粒黒雲母花崗岩および角閃石含有黒雲母花崗岩からなり、放射線で黒~暗灰色になった石英を多く含み、脈状ないし晶洞状のペグマタイトに富むことを特徴とする。
    ペグマタイト
    花崗岩質の岩石に多く形成されるため巨晶花崗岩ともいう。花崗岩とほぼ同じ鉱物からなり、それらが著しく粗粒で、長石類と石英が文象構造をなしている岩石で、マグマが冷却固結していく過程で温度や圧力が低下し、鉱物中に取り込まれにくかったガス成分等がマグマ溜りの天井部に集まって空洞を形成し、そこに大きな結晶を成長させることで形成される。空洞内には鉱物に取り込まれずにマグマ中に残された元素が結びついて希産鉱物を作ることが多く、宝石あるいは鉱物標本として採取されたりする。


    地質年代