化石名 恐竜の足跡化石 きょうりゅうのあしあとかせき
地図 地図を見る
地層名 手取層群(飛騨市神岡町横山)
対象時代 白亜紀前期
概要    1999(平11)年に飛騨市神岡町横山の高原川沿いに分布する手取層群の砂岩泥岩互層から4個の凸型の恐竜の足跡化石が発見された。砂岩泥岩互層において砂岩層は泥岩層にくらべて固いために庇(ひさし)のように突き出ており、足跡化石はその底面から発見された。その化石は3本指で丸い形態をなすことからイグアノドン型の草食恐竜の足跡化石と考えられている。軟らかい状態の砂や泥が動物の足に押しつけられ、そこがすみやかに埋められることで地層の表面に凹型の形として足跡が残される。その上を埋めた砂や泥が固まると、その地層の底面には下位の地層にある凹型の足跡が凸型に映されて残される。恐竜が足跡を残すような環境は陸域に限られ、しかも砂と泥が明瞭にわけられて堆積するような広がりをもち、当時の大陸の東端にあった大きな盆地内を流れる網状河川沿いの後背湿地のような場所と考えられている。なお、この足跡化石のある砂岩層はそのまま採取され、付近に転がっていた砂岩層から得られた1個の足跡化石とともに岐阜県博物館に保管されている。
ジオ点描    動物の足跡から得られる情報は、その足跡をつけた動物の種類の同定だけでなく、歩行状態に関する情報、歩行速度や歩き方に関する情報、足元に及ぼす胴体に関する情報、個体間の関係や群れの行動に関する情報などかなり多彩である。足跡化石においてはこれらすべてが必ず得られる情報ではなく、重量のある動物など特定の動物に限られる傾向もあるが、骨や歯で得られる情報とは異なる側面をもつ。
文献
  • 岐阜県恐竜化石学術調査団(1999)岐阜県神岡町の手取層群から産出した恐竜の足跡.岐阜県博物館調査研究報告,20号,9-12頁.
  • 写真 飛騨市神岡町横山の高原川河岸において手取層群から産出した恐竜の足跡化石
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 準備中
    手取層群
    手取層群は、福井県東部から石川県南東部、岐阜県北部、富山県南部へかけての地域に分かれて分布し、中生代のジュラ紀前期から白亜紀前期にかけての時代に形成された海成~陸成の地層である。おもに砂岩・泥岩・礫岩などの砕屑岩類からなり、恐竜などの爬虫類化石を産出することで知られる。大きくみると浅海成層から陸成層へと移り変わっていることで、これまでは3つの亜層群(九頭竜・石徹白(いとしろ)・赤岩亜層群)に区分されていた。しかし、これら3亜層群の区分に関しては、形成時代の見直しが化石(特にアンモナイト化石)に基づいて進められてきたことで、堆積環境の変遷も含めていくつかの見解が示されており、それにともなっていくつかの層序区分の考えが示されてきた。ここではこれまでに一般的に用いられてきた3亜層群の名称をそのまま用い、形成時期に重点をおいた区分として、九頭竜・石徹白亜層群の境界をほぼ中生代ジュラ紀と白亜紀の境界(約1億4,550万年前)、石徹白・赤岩亜層群の境界をほぼ白亜紀前期の約1億2,500万年前として表現する。ただし、分かれて分布する個々の地域すべてから時代決定に有効な化石が産出するわけではなく、年代測定の問題も含めて課題の残された地域もあるため、ここでは現段階での資料に基づいて区分し、時代不明の未区分層(Tu)として扱う地域もある。岐阜県地域において区分できる地域では、九頭竜亜層群は分布せず、石徹白・赤岩亜層群が分布し、それぞれ石徹白亜層群相当層、赤岩亜層群相当層として記述する。
    岐阜県博物館
    岐阜県置県100周年記念事業として建設され、岐阜県の姿を自然・人文両分野の諸資料によって紹介する総合博物館である。自然分野では岐阜県内の地質、化石、動植物について「自然の生い立ち」、「自然のすがた」、「自然とひと」という3つのテーマで常設展示がなされているほか、各種の企画展や出前授業、講演会等のイベントなど多方面にわたる博物館活動が展開されている。



    地質年代
    手取層群
    手取層群は、福井県東部から石川県南東部、岐阜県北部、富山県南部へかけての地域に分かれて分布し、中生代のジュラ紀前期から白亜紀前期にかけての時代に形成された海成~陸成の地層である。おもに砂岩・泥岩・礫岩などの砕屑岩類からなり、恐竜などの爬虫類化石を産出することで知られる。大きくみると浅海成層から陸成層へと移り変わっていることで、これまでは3つの亜層群(九頭竜・石徹白(いとしろ)・赤岩亜層群)に区分されていた。しかし、これら3亜層群の区分に関しては、形成時代の見直しが化石(特にアンモナイト化石)に基づいて進められてきたことで、堆積環境の変遷も含めていくつかの見解が示されており、それにともなっていくつかの層序区分の考えが示されてきた。ここではこれまでに一般的に用いられてきた3亜層群の名称をそのまま用い、形成時期に重点をおいた区分として、九頭竜・石徹白亜層群の境界をほぼ中生代ジュラ紀と白亜紀の境界(約1億4,550万年前)、石徹白・赤岩亜層群の境界をほぼ白亜紀前期の約1億2,500万年前として表現する。ただし、分かれて分布する個々の地域すべてから時代決定に有効な化石が産出するわけではなく、年代測定の問題も含めて課題の残された地域もあるため、ここでは現段階での資料に基づいて区分し、時代不明の未区分層(Tu)として扱う地域もある。岐阜県地域において区分できる地域では、九頭竜亜層群は分布せず、石徹白・赤岩亜層群が分布し、それぞれ石徹白亜層群相当層、赤岩亜層群相当層として記述する。