化石名 オオミツバマツ -
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地層名 土岐口陶土層
対象時代 新第三紀中新世後期
(約1000万~1200万年前)
概要    新第三紀の中新世後期から鮮新世にかけての時期に繁茂し、短い3本の針葉をもつマツ属の化石種で、長さ12~14cm、幅8~9cmにもなる卵形の大型球顆(松ぼっくり)をつけ、その鱗片の先がトゲのように飛び出ている外見上の大きな特徴をもつ。それが地層中で圧縮されて扁平になった状態で産出するため、産出時には大きさが20cmほどあるが、乾燥してしまうと20%ほど小さくなる。瀬戸層群の下部層を構成する土岐口陶土層に含まれ、この時期の植物化石群は“オオミツバマツ植物群”と呼ばれる。
ジオ点描    マツの葉は短枝と呼ばれる枝の一種に2枚、3枚、5枚が束になってつき、その数は種によって決まっている。日本では二葉(によう)松としてアカマツ、クロマツなどが、五葉(ごよう)松としてはゴヨウマツ、ヒメコマツ、ハイマツなどがそれぞれ知られている。ところが現在の日本には三葉松は分布せず、化石種としてオオミツバマツだけが分布していたことが確認されており、類縁種が北米に自生している。
文献
  • 安藤善之・塚腰 実・中山勝博・鹿野勘次・安井謙介・実吉玄貴・館野満美子(1999)中新統土岐口陶土層から産出したオオミツバマツ球果化石の密集層とその保存処理過程.岐阜県博物館調査研究報告,20号,17-22頁.
  • 写真 多治見における土岐口陶土層から産出したオオミツバマツの球顆(松ぼっくり)
    (岐阜県博物館所蔵,撮影:棚瀬充史)
    写真 準備中
    瀬戸層群
    東海層群のうち濃尾平野の地下を含めて伊勢湾以東の地域に分布する地層群で、岐阜県地域では東濃地方に分布し、下部層をなす土岐口陶土層と上部層をなす土岐砂礫層からなる。この地域では火山灰層がほとんど含まれないことで、内部層序あるいは地層対比がむずかしく、近接した地域でも堆積物相互の関係が明確にできない。




    地質年代
    土岐口陶土層
    瀬戸層群の下部層を構成し、土岐市土岐津町土岐口周辺から多治見市へかけての地域に分布し、それより東方の瑞浪市・恵那市・中津川市の地域に点在して分布する。層厚は20~30mであり、粘土層を主体とする地層からなる。粘土層は、おもに石英粒を含む粘土(蛙目(がえろめ)粘土)、炭質物を含む粘土(木節(きぶし)粘土)、石英砂(珪砂)に分けられ、それらの層序や層相は場所によりかなり異なり、対比もむずかしい。これらは一辺が数~十数kmの小さい凹地に分かれて分布し、それぞれで耐火粘土鉱床として採掘されていったが、やがて枯渇することで多くの地域で廃鉱となっている。