化石名 メタセコイア(葉)
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地層名 瑞浪層群中村累層
(可児市土田 中濃大橋下流の木曽川河床)
対象時代 新第三紀中新世
概要    メタセコイアは和名をアケボノスギ(曙杉)といい、現生種として馴染みのある樹木である。樹高25~30m、直径1.5mにもなる巨木に成長することもあり、その葉は長さ1~2cmほど、幅1~2mmほどの細長く、モミに似た羽状に対生しており、明緑色をなすが、秋に黄褐色に紅葉して落葉する。化石としては美濃加茂・可児地域に分布する瑞浪層群のうち、蜂屋累層と中村累層からたくさん見つかっており、トウヒやツガなどともに温冷帯落葉樹や針葉樹を主とする寒冷気候を示す“阿仁合(あにあい)型”と呼ばれる植物群にあたる。これは平牧累層から産出する暖帯~暖温帯の落葉樹を主体とする“台島型”植物群の時代より少し前にあたる時期の植物群にあたる。
ジオ点描    メタセコイアは1941(昭16)年に日本で初めて故三木 茂博士により常緑種のセコイアに似た絶滅化石種として認定された。その後、中国四川省で発見された自生種が三木による化石種と同一のものとして1946(昭21)年に発表され、それがアメリカへ届けられた後に1948(昭23)年に種子が日本に送られた。それが1950年代になってから全国各地に植えられ、生きている植物化石としてよく知られるようになっている。
文献
  • 写真 可児市土田の中濃大橋下流の木曽川河床における中村累層に含まれているメタセコイアの葉
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 現生のメタセコイアの葉(美濃加茂市森山町森山公園)
    (撮影:鹿野勘次)
    蜂屋累層
    可児地域に分布する瑞浪層群のうち下部層を構成し、瑞浪層群全体としても最下部層をなす。美濃加茂市南部に広く分布し、おもに安山岩質~玄武岩質の火砕岩・水中自破砕溶岩・貫入岩などからなり、凝灰質砂岩や凝灰質シルト岩などの湖沼性堆積岩層をともなう。火山活動は浅い水中で起こり、火砕岩類のほとんどはマグマ水蒸気爆発により形成されたと考えられている。層厚は約300mである。
    平牧累層
    可児地域に分布する瑞浪層群のうち上部層を構成し、可児市から御嵩町へかけての地域に分布する。層厚は80m以上で、凝灰角礫岩や巨岩塊を含む凝灰岩などからなる下部層と凝灰質砂岩などからなる上部層に分けられている。ゴンフォテリウムというゾウやアンキテリウムという小型のウマなどの哺乳動物化石が産出したことで知られており、平牧動物化石群と呼ばれている。湖沼性の貝類化石や温暖性の植物化石が含まれている。



    地質年代
    瑞浪層群
    新第三紀の中新世に西南日本の古瀬戸内海と呼ばれる海に堆積した地層群の一つで、岐阜県の中濃地方から東濃地方へかけての可児・瑞浪・岩村の3地域に分かれて分布する。可児地域では下位から蜂屋累層、中村累層、平牧累層に、瑞浪地域では同じく土岐夾炭累層、本郷累層、明世累層、生俵累層に、岩村地域では同じく阿木累層、遠山累層にそれぞれ区分されている。これらは、大きくみると淡水域から汽水域、海域へと堆積環境が変化していったが、設楽層群などの他地域に分布する地層群に比べると浅海性の傾向がみられる。
    中村累層
    可児地域に分布する瑞浪層群のうち中部層を構成し、御嵩町・可児市・美濃加茂市南部に広く分布する。層厚は約120mで、礫岩や凝灰質砂岩・シルト岩互層からなる下部層と褐炭層をはさむ凝灰質砂岩・シルト岩からなる上部層とに分けられている。哺乳動物化石としてサイ、バク、シカなどが産出したことで知られており、湖沼性の貝類化石や寒冷性の植物化石も多く含まれる。御嵩亜炭鉱群はこの褐炭層を採掘していた。