化石名 四射(四放)サンゴ ししゃ(しほう)さんご
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地層名 福地層
対象時代 デボン紀
概要    地球上に最初に出現したサンゴ類で、古生代のオルドビス紀からペルム紀まで生息し、石炭紀に特に繁栄しており、すべて化石種からなる絶滅した動物群である。単体のものと群体のものがあり,円筒状の殻の内側にある隔壁が4または4の倍数になっていることでこの名がある。クエイチョウフィルム(貴州サンゴ)やナガトサンゴなど数千種が知られており、多くの種が正確な示準化石となっている。岐阜県地域では飛騨外縁帯構成岩類の福地層(デボン紀)から産出する。
ジオ点描    造礁性サンゴは体内に褐虫藻という藻類を共生させており、それが光合成をして多くのエネルギーを得て成長が比較的早くなることでサンゴ礁を形成する。この褐色藻が光合成しなければならないためサンゴ礁は光量の多い浅海域にしか生息できないことになり、そうした環境を示してくれることで有効な示相化石となる。ちなみにサンゴ礁の鮮やかな色も褐虫藻がもつ色であり、サンゴ自体は白色である。
文献
  • 写真 福地層から産出した四射サンゴ
    (岐阜県博物館所蔵,撮影:棚瀬充史)
    写真 準備中
    飛騨外縁帯構成岩類
    飛騨外縁帯は、飛騨帯の南側を取りまくように幅数~30kmほどで細長く分布する地質帯である。岐阜県地域では飛騨山脈の槍ヶ岳(標高3180m)付近から高山市の奥飛騨温泉郷、丹生川町北部~国府町地域、清見町楢谷(ならだに)、郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)などに断片的に配列して露出している。そこを構成している岩石はかなり変化に富み、古生代に形成された非変成の砕屑岩類や火山岩類、結晶片岩などからなる変成岩類、超苦鉄質岩(U)から変化した蛇紋岩と呼ばれる岩石などである。これらの岩石は、飛騨帯構成岩類を一部に含めた当時の大陸(中朝地塊と呼ばれる)の東縁で形成された陸棚や浅海性の堆積物および火山砕屑物が中生代ジュラ紀中ごろまでに大規模な横ずれ運動をともなって飛騨帯構成岩類と接するようになり、その過程でもたらされた変成岩類や超苦鉄質岩を断片的にともなって形成されたと考えられている。ただし、飛騨外縁帯と飛騨帯との間には、富山県地域や新潟県地域などにおいて宇奈月帯あるいは蓮華帯と呼ばれる変成岩類で構成された地帯が分布しており、岐阜県地域においてもそれらとよく似た性質の岩石が断片的に分布するが、よくわかっていない点もあるため、ここではすべて飛騨外縁帯の構成岩類として扱う。
    示準化石
    地質時代を特定できる化石のことで、標準化石ともいう。こうした化石となる条件には、個体数が多いこと、地理的な分布が広いこと、特定の形態をもった状態での生存期間が短いことなどが挙げられ、一般には同一系統内では分類単位が大きいほど特定できる時間の幅が長くなる。こうした化石が含まれることで、離れた地域の間で地層の対比と時間の同定が可能となり、「地層同定の法則」が成り立つ。
    示相化石
    すべての生物は環境に適応して生活していたはずであるから、すべての化石はその生息環境を示すが、それらの中で生息条件が限定されていること、現生種との関係から生息環境の推察が可能であること、現地性のものであることなどの条件を持ち、それが含まれる地層の堆積環境を明確に示す化石を指す。


    地質年代
    福地層
    奥飛騨温泉郷地域に分布する飛騨外縁帯構成岩類の一つで、福地地区のオソブ谷支谷一の谷下流部を中心に一の谷層の南東側に北東~南西方向に断層に囲まれて帯状に分布する。おもに石灰岩あるいは石灰質泥岩を主体とする浅海成の堆積物からなリ、層厚は270m以上である。ファボシテス(ハチノスサンゴ)をはじめとしてサンゴ類、腕足類、三葉虫、貝形虫、コノドント、放散虫などきわめて多くの化石を産し、福地層を中心に分布一帯が国指定の天然記念物「福地の化石産地」となっている。時代決定できる化石はすべてデボン紀のものであり、日本におけるデボン紀層を代表する地層となっている。