鉱山名 美山鉱山 みやまこうざん
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所在地 山県市神崎1476
対象資源 ドロマイト (稼働)
概要    山県市谷合(たにあい)で武儀川に合流する神崎川をさかのぼり、山県市神崎の集落からさらに7kmほどさかのぼった伊住戸(いおど)地区にある。美濃帯堆積岩類を構成する石灰岩の岩体はさまざまな規模で分布しているが、それらの中で山県市北部地域に分布する「舟伏山石灰岩」と呼ばれる岩体は長径10km以上にも及ぶかなり大きな岩体である。ところが平野近くにある「赤坂石灰岩」や「石山石灰岩」とは異なり、搬出方法に限界もあることで今日に至っても大規模に採掘されていない。こうした石灰岩体にあって特定成分としてMgO成分19%という高い品質のドロマイトを含むことから、西日本地区において最大のドロマイト鉱山となっており、おもに鉄鋼向け原石や苦土肥料の原料として採掘されている。
ジオ点描    石灰岩を構成している方解石(CaCO₃)中のカルシウム(Ca)がマグネシウム(Mg)に置き換わった鉱物を苦灰石(ドロマイト、CaMg(CO₃)₂)といい、それを主成分とする岩石を苦灰岩というが、どちらもドロマイトと呼ぶことが多い。灰色か白色をなし、見かけは石灰岩とあまり変わらない。マグネシウムを含むことで土壌改良剤や肥料、鉄鉱精製などに用いられている。
文献
  • Sano,H.(1988)Permian oceanic-rocks of Mino Terrain, central Japan, Part I chert facies. Journal of Geological Society of Japan, vol.94, 697-709.
  • 写真 山県市神崎における美山鉱山の採石場
    (撮影:小井土由光)
    写真 準備中

    美濃帯堆積岩類
    美濃帯は、飛騨外縁帯の南側にあってかなり幅広く分布する地質帯で、岐阜県内でも広範囲にわたる地域を占める。そこは、古生代石炭紀から中生代白亜紀最前期にかけての時期にチャート・石灰岩・砂岩・泥岩・礫岩などの海底に堆積した堆積岩類と海底に噴出した緑色岩(玄武岩質火山岩類)でおもに構成されている。下図に示すように、海洋プレートの上に噴出した玄武岩質火山岩類は海底や火山島(海山)を形成して、その上にチャートや石灰岩・珪質泥岩などを徐々に堆積させながら大陸へ向かって年間数cmほどの速さで移動していく。海洋プレートは海溝部で大陸の下へ沈み込んでいくが、堆積物はいっしょに沈み込むことができず、はぎ取られたり、大陸側から運び込まれた砂岩・泥岩などとともに大陸側へ押し付けられ、混じり合って複合体(コンプレックス)を作りあげていく。こうした作用を付加作用といい、それにより形成された堆積物は付加体堆積物と呼ばれ、これまでそれらを総称して「美濃帯中・古生層」、「美濃帯中生層」、「美濃帯堆積岩コンプレックス」などといろいろな表現で呼ばれてきたが、ここではこれらを「美濃帯堆積岩類」と呼ぶ。それらは、それまで順に重なっていた地層が付加作用にともなって低角の断層を境にして屋根瓦のように繰り返して覆うように重なったり、複雑に混じりあったメランジュと呼ばれる地質体を構成し、整然とした地層として順番に連続して重なるようなことがほとんどない。そのため全域にわたり個々の地層名を付して表現することがむずかしいため、ここでは構成岩石の種類(岩相)によって表現する。これらの構成岩石は単独でも複数の組合せでもある程度の大きさを持つ地質体を形成しており、その大きさはcmオーダーの礫からkmオーダーの岩体までさまざまである。これらは岩相、形成時期、形成過程などの類似性から複数の地質ユニットに区分され、ユニット間は衝上断層で接することが多いが、その区分による表現はここでは用いない。
    石灰岩
    美濃帯堆積岩類の中には、金生山の赤坂石灰岩、舟伏山地域の舟伏山石灰岩、石山地域の石山石灰岩などと呼ばれる比較的大きな石灰岩の岩体が分布しており、石灰石資源として採掘されていたり、場所によっては鍾乳洞地帯を形成している。古生代のペルム紀に形成された緑色岩(玄武岩質火山岩類)からなる海山を覆うサンゴ礁を構成していた石灰質生物の遺骸が集積して形成されたものであり、一般に緑色岩と密接にともなって美濃帯堆積岩類の中では最も古い時期に形成された岩石である。


    地質年代