温泉名 花白温泉 はなしろおんせん
地図 地図を見る
所在地 恵那市山岡町馬場山田996-15
源泉最高温度 17.1℃(平21)
泉質 放射能泉
pH 9.6
概要    恵那市岩村町から山岡町へ向かう国道363・418号あるいは明智鉄道が通る低地は、大きく見ると東西方向に延びる恵那山断層におおよそ平行に延びている。断層の南側は隆起して花崗岩からなる山地を形成しているのに対して、この温泉がある北側の低地には瑞浪層群が広く分布する。断層を境に地質環境が大きく異なるように見えるが、北側の瑞浪層群の基盤には花崗岩が分布しており、しかもこの温泉付近では放射性元素を比較的多く含む苗木花崗岩が分布していると考えてよい。さらに恵那山断層にも比較的近い位置にあることから、それに関係する破砕帯に地下水脈があり、そこに放射性元素が溶け出して湧出している放射能泉である可能性が高い。この温泉は明知鉄道花白温泉駅の駅前にある入浴施設で、建物のすぐ前にある井戸が源泉である。薬湯として200年以上の歴史をもち、放射能泉として効き目の強い(濃い)温泉とされ、井戸の水面に“白い花のような湯の花が浮いている”ところに温泉名の由来があるとされている。
ジオ点描
写真 明智鉄道の花白温泉駅と花白温泉
(撮影:小井土由光)
写真 花白温泉の源泉井
(撮影:小井土由光)
瑞浪層群
新第三紀の中新世に西南日本の古瀬戸内海と呼ばれる海に堆積した地層群の一つで、岐阜県の中濃地方から東濃地方へかけての可児・瑞浪・岩村の3地域に分かれて分布する。可児地域では下位から蜂屋累層、中村累層、平牧累層に、瑞浪地域では同じく土岐夾炭累層、本郷累層、明世累層、生俵累層に、岩村地域では同じく阿木累層、遠山累層にそれぞれ区分されている。これらは、大きくみると淡水域から汽水域、海域へと堆積環境が変化していったが、設楽層群などの他地域に分布する地層群に比べると浅海性の傾向がみられる。
苗木花崗岩
中津川市苗木付近を中心に濃飛流紋岩の分布域の南部に広く分布し、中央部においても濃飛流紋岩の地下に広く伏在して分布する。濃飛流紋岩の少なくともNOHI-5までを貫き、NOHI-3、NOHI-4およびNOHI-5と火山-深成複合岩体を形成していると考えられている。塊状で、一部斑状の細粒~粗粒黒雲母花崗岩および角閃石含有黒雲母花崗岩からなり、放射線で黒~暗灰色になった石英を多く含み、脈状ないし晶洞状のペグマタイトに富むことを特徴とする。
恵那山断層
恵那山断層は、土岐市柿野付近から岐阜・長野県境の富士見台高原付近まで全長約43kmに及ぶ断層である。恵那市岩村町でのトレンチ調査によると、その最新活動は約7,600年~2,200年以前であったと推定されている。東濃地方の地形は、東北東~西南西方向に平行して走る恵那山断層と屏風山(びょうぶさん)断層の影響をおもに受けており、相対的に断層の南側が隆起し、北側が沈降しているため、それぞれの断層の北側には谷や盆地の連なる低地が形成されている。恵那山断層の北側には、中津川市阿木(あぎ)、恵那市岩村町、同山岡町、瑞浪市陶町(すえちょう)、そして土岐市柿野といった地域が低地をなして連なり、そこには瑞浪層群や瀬戸層群が分布し、とりわけ後者を構成する土岐口陶土層は丸原鉱山のような耐火粘土鉱床を断層沿いに形成している。断層南側の隆起山塊との間には断層崖として急峻な地形が作られ、それを巧みに利用した山城が岩村城跡にみられる。


地質年代