温泉名 大白川温泉/平瀬温泉 おおしらかわ・ひらせおんせん
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所在地 白川村平瀬大白川/白川村平瀬
源泉最高温度 92.5℃(平15)
泉質 塩化物泉
pH 8.7
概要    庄川支流の大白川上流部に設けられた大白川ダムで造られた人造湖が白水湖であり、エメラルドグリーンの美しい湖面を見せている。この青色の湖面は周辺から硫黄成分などを含む温泉水が流れ出たために作られたものであり、湖西岸にある地獄谷付近には手取層群の中に白山火山の熱水変質帯が広がっており、そこに高温の蒸気を噴出する噴気孔や90℃を超えるかなり高温の温泉の自然湧出が見られる。その一つを源泉として数百mほど離れた湖畔ロッジ付近まで配管して露天風呂施設(村営)として利用しているのが「大白川温泉」である。この源泉からさらに14kmほど大白川の下流まで引湯された温泉が「平瀬温泉(大白川平瀬温泉)」で、日帰り温泉施設「しらみずの湯」をはじめとしていくつかの旅館等で利用されている。
ジオ点描    白山火山に関わる温泉はその北麓の石川県側にある中宮温泉、岩間温泉などが知られており、自噴する温泉成分が凝結して塔状に林立してできた岩間噴泉塔群が国の天然記念物(1957(昭32)年指定)になっている。いずれも現在の白山火山の中心部からみるとかなり離れた位置で湧出している。岐阜県側においても似たような距離にあるのが平瀬温泉であるが、湧出ではなく引湯された温泉である。
写真 白川村の大白川上流にある地獄谷の噴気孔
(撮影:鹿野勘次)
写真 白川村平瀬にある平瀬温泉の日帰り温泉施設「しらみずの湯」
(撮影:小井土由光)
手取層群
手取層群は、福井県東部から石川県南東部、岐阜県北部、富山県南部へかけての地域に分かれて分布し、中生代のジュラ紀前期から白亜紀前期にかけての時代に形成された海成~陸成の地層である。おもに砂岩・泥岩・礫岩などの砕屑岩類からなり、恐竜などの爬虫類化石を産出することで知られる。大きくみると浅海成層から陸成層へと移り変わっていることで、これまでは3つの亜層群(九頭竜・石徹白(いとしろ)・赤岩亜層群)に区分されていた。しかし、これら3亜層群の区分に関しては、形成時代の見直しが化石(特にアンモナイト化石)に基づいて進められてきたことで、堆積環境の変遷も含めていくつかの見解が示されており、それにともなっていくつかの層序区分の考えが示されてきた。ここではこれまでに一般的に用いられてきた3亜層群の名称をそのまま用い、形成時期に重点をおいた区分として、九頭竜・石徹白亜層群の境界をほぼ中生代ジュラ紀と白亜紀の境界(約1億4,550万年前)、石徹白・赤岩亜層群の境界をほぼ白亜紀前期の約1億2,500万年前として表現する。ただし、分かれて分布する個々の地域すべてから時代決定に有効な化石が産出するわけではなく、年代測定の問題も含めて課題の残された地域もあるため、ここでは現段階での資料に基づいて区分し、時代不明の未区分層(Tu)として扱う地域もある。岐阜県地域において区分できる地域では、九頭竜亜層群は分布せず、石徹白・赤岩亜層群が分布し、それぞれ石徹白亜層群相当層、赤岩亜層群相当層として記述する。
白山火山
最高峰の御前峰(ごぜんがみね)(標高2702m)と剣ヶ峰(標高2677m)、大汝峰(おおなんじみね)(標高2684m)をあわせて「白山三峰」といい、それらを中心とする安山岩質の溶岩、火砕流堆積物などからなる火山体である。ただし、山頂部付近でも標高2400m付近まで基盤岩類が分布しており、それらの上にきわめて薄く噴出物が覆っているに過ぎない。加賀室火山(約42万~32万年前)、古白山火山(約13万~6万年前)、新白山火山(約4万年前以降)の3つの活動時期に分けられるが、前二者は現在の主峰から離れた周囲の尾根上に残っているだけで、ほとんどが削剥されてしまっている。とりわけ古白山火山は、現在の大汝峰の北側にあたる石川県側の地獄谷付近にあたる位置に標高3000mに達する山頂をもつ成層火山体を形成していたと考えられている。新白山火山は現在の主峰を中心とした火山体を形成しており、岐阜県側では、約4400年前に山頂付近の東側が大規模に崩落したことで馬蹄形の凹地が形成され、その崩落で発生した岩屑なだれによる堆積物が大白川岩屑流堆積物を形成し、約2200年前には山頂部付近から溶岩が東方へ流下して白水滝溶岩を形成し、その末端付近に白水滝がある。最新の活動については事項解説『災害』の項目「白山火山噴火」を参照のこと。



地質年代