温泉名 新平湯温泉 しんひらゆおんせん
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所在地 高山市奥飛騨温泉郷一重ヶ根(ひとえがね)
源泉最高温度 95.5℃(平20)
泉質 炭酸水素塩泉・単純泉
pH 幅あり
概要    奥飛騨温泉郷地域を流れる高原川をはさんで福地(ふくじ)温泉の対岸にあたる高台の地域にある温泉である。飛騨外縁帯構成岩類を基盤とし、それらを覆って焼岳火山群アカンダナ火山から流れ出た一重ヶ根泥流堆積物の分布域に湧出している。ただし、この堆積物に泉源としての意味はなく、焼岳火山の西麓に位置することから、福地温泉とともに焼岳火山を熱源としていると考えられる。高原川右岸(東岸)の比較的広範囲にわたる温泉街であり、この地域では南側にある平湯温泉に次ぐ規模をもち、歴史も古い。開湯時期は不明であり、かつては「一重ヶ根温泉」と呼ばれた。
ジオ点描    “奥飛騨温泉郷”は旧上宝村の中で焼岳火山群の周囲に分布する温泉地をまとめた行政地域の呼称である。大きく5つの温泉地からなるとされているが、それぞれに歴史や立地環境も異なり、同じ基準で区分されているわけではない。それらの中においても新平湯温泉は、高原川沿いに分布する温泉地のうち平湯温泉と福地温泉を除く残りのかなり広範囲に及ぶ温泉地をまとめて呼称したものである。
写真 準備中
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飛騨外縁帯構成岩類
飛騨外縁帯は、飛騨帯の南側を取りまくように幅数~30kmほどで細長く分布する地質帯である。岐阜県地域では飛騨山脈の槍ヶ岳(標高3180m)付近から高山市の奥飛騨温泉郷、丹生川町北部~国府町地域、清見町楢谷(ならだに)、郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)などに断片的に配列して露出している。そこを構成している岩石はかなり変化に富み、古生代に形成された非変成の砕屑岩類や火山岩類、結晶片岩などからなる変成岩類、超苦鉄質岩(U)から変化した蛇紋岩と呼ばれる岩石などである。これらの岩石は、飛騨帯構成岩類を一部に含めた当時の大陸(中朝地塊と呼ばれる)の東縁で形成された陸棚や浅海性の堆積物および火山砕屑物が中生代ジュラ紀中ごろまでに大規模な横ずれ運動をともなって飛騨帯構成岩類と接するようになり、その過程でもたらされた変成岩類や超苦鉄質岩を断片的にともなって形成されたと考えられている。ただし、飛騨外縁帯と飛騨帯との間には、富山県地域や新潟県地域などにおいて宇奈月帯あるいは蓮華帯と呼ばれる変成岩類で構成された地帯が分布しており、岐阜県地域においてもそれらとよく似た性質の岩石が断片的に分布するが、よくわかっていない点もあるため、ここではすべて飛騨外縁帯の構成岩類として扱う。
焼岳火山群
飛騨山脈の南部にあって、焼岳火山を主峰とする複数の火山体の集まりであり、乗鞍火山帯の中で最近1万年間では最も活発な活動を続けている。形成時期により約12万~7万年前の旧期焼岳火山群と約3万年前以降の新期焼岳火山群に大別され、前者には岩坪山・大棚火山、割谷山火山が、後者には白谷山火山、アカンダナ火山、焼岳火山がそれぞれ該当する。全体に斜長石と角閃石の斑晶が目立つ安山岩質~デイサイト質の溶岩ドーム、厚い溶岩流、泥流堆積物、火砕流堆積物からなり、火砕流堆積物はすべて溶岩ドームの破壊によってできたblock and ash flow堆積物であり、激しい爆発的な噴火活動をほとんど行なっていない。
焼岳火山
焼岳火山群の新期焼岳火山群に属する火山体で、その中で最も新しく、現在も活動中の火山である。焼岳(標高2455m)を中心として、いくつかの溶岩、溶岩ドームとそれらにともなわれる火砕岩類からなる。現在の山頂部を作る溶岩ドームは約2,300年前に形成されたものである。歴史時代に入ってからの活動としては、1907(明40)年から1939(昭14)年まで水蒸気爆発が活発に繰り返され、特に1915(大4)年に水蒸気爆発にともない発生した泥流が梓川をせき止めて大正池を作ったことは有名である。最新の活動については事項解説『災害』の項目「焼岳火山噴火」を参照のこと。
福地温泉
飛騨外縁帯構成岩類が分布する地域にあるが、高原川対岸にある新平湯温泉とともに焼岳火山の西麓に位置することからそれを熱源としていると考えられる。平安時代に村上天皇が湯治に訪れていたという入湯伝説があり、そのため“天皇泉”の名前が残る。県内で下呂温泉とともに日本百名湯の一つにも選ばれている。ただし、もともとの温泉は平湯川の河原から湧出しており、しばしば洪水で流失したとの記録が残る。
平湯温泉
焼岳火山群としては比較的新しい時期に活動しているアカンダナ火山の西麓にあり、同火山を熱源としている温泉の可能性もあるが、現在活動中の焼岳火山を熱源としている可能性もある。地下でどのようにつながっているかはわからない。戦国時代の開湯伝説があり、奥飛騨温泉郷の中でも最も歴史の古い温泉とされている。なお、平湯温泉発祥の地は、温泉街中心から東方1kmほどのところにある“神の湯”という露天風呂である。
アカンダナ火山・一重ヶ根泥流堆積物
焼岳火山群の最南端にあり、白谷山火山の南側に噴出し、アカンダナ山(標高2109m)を中心として新期焼岳火山群に属する火山体であり、溶岩ドーム、溶岩、火砕岩類からなる。火山体の頂上部を含めた岐阜県側で地すべり崩壊した崖がみられる。形成時期が約1万年前とされたことで、新たに定められた活火山の仲間入りをした火山でもある。この火山に由来する噴出物が二次的に流出して白谷山(標高2188m)西麓の白谷合流部付近から一重ヶ根付近までの平湯川(高原川)沿いに河岸段丘を作って分布する一重ヶ根土石流堆積物は、淘汰の悪い安山岩質の亜角礫~亜円礫の岩塊や岩片と同質の基質からなる。
アカンダナ火山・一重ヶ根泥流堆積物
焼岳火山群の最南端にあり、白谷山火山の南側に噴出し、アカンダナ山(標高2109m)を中心として新期焼岳火山群に属する火山体であり、溶岩ドーム、溶岩、火砕岩類からなる。火山体の頂上部を含めた岐阜県側で地すべり崩壊した崖がみられる。形成時期が約1万年前とされたことで、新たに定められた活火山の仲間入りをした火山でもある。この火山に由来する噴出物が二次的に流出して白谷山(標高2188m)西麓の白谷合流部付近から一重ヶ根付近までの平湯川(高原川)沿いに河岸段丘を作って分布する一重ヶ根土石流堆積物は、淘汰の悪い安山岩質の亜角礫~亜円礫の岩塊や岩片と同質の基質からなる。
地質年代