温泉名 栃尾温泉 とちおおんせん
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所在地 高山市奥飛騨温泉郷栃尾
源泉最高温度 -
泉質 -
pH -
概要    奥飛騨温泉郷地域において高原川が蒲田(がまた)川と合流する場所にあり、両河川沿いに広がる温泉群の中にあって規模も小さく、民宿が主体をなす温泉である。ただし、栃尾の集落内に源泉があるわけではなく、すべて蒲田川上流の新穂高温泉(とくに蒲田地区の源泉)からの引湯でまかなわれており、蒲田川の河原にある共同露天風呂「荒神の湯」はよく知られている。1979(昭54)年8月の栃尾土石流災害はこの温泉街に大きな被害をもたらした。
ジオ点描    1つの温泉として単独にあると、そこに源泉があると思い込んでしまう。奥飛騨温泉郷という温泉地帯においてはなおさらであり、どこでも温泉源が分布しているように思ってしまう。県内では栃尾温泉のように源泉のない温泉地がいくつかある。人間の力は自然の状態をいくらでも変えてしまい、いかにも自然に温泉が湧いているように思い込ませてしまうのはわけないということである。
写真 栃尾温泉における共同露天風呂「荒神の湯」入口の石柱
(撮影:小井土由光)
写真 栃尾温泉における共同露天風呂「荒神の湯」
(撮影:小井土由光)
新穂高温泉
高原川支流の蒲田(がまた)川沿いの広範囲に広がる温泉群の総称で、最奥部の「新穂高」、下流側の「蒲田」、南東岸の高台にある「中尾」の3地区に分かれ、それぞれ源泉が異なる。ほとんどが笠ヶ岳コールドロンを構成する火山岩類や花崗岩類の分布域にあるが、いずれも高温の豊富な湯量が得られることから、焼岳火山群としては最新の焼岳火山を熱源としていると考えられる。これらのうち中尾地区は昭和に入ってから源泉が発見された比較的新しい温泉であり、とりわけ高温の温泉や蒸気が豊富に出ることで、地熱発電等の開発が進められようとしている。
栃尾土石流災害
奥飛騨温泉郷の栃尾温泉で知られる栃尾地区に北側から流れ込む洞谷において発生した土石流が地区全体を襲い、通りがかりの観光客3名がのみこまれて犠牲となった。その土砂総量は10万m³と推定され、それが一気に洞谷を流れ下り、谷の途中に設置されていた砂防堰堤や扇状地上を走る県道の橋をすべて破壊した。洞谷上流に分布する岩石は笠ヶ岳コールドロンを構成する笠谷層の流紋岩質溶岩であり、それが集中豪雨により崩壊することで始まり、傾斜30°にも達する急傾斜地を流れ下ることで土石流となり、高速のまま山麓まで流れ下った。下流部には飛騨外縁帯構成岩類の蒲田(がまた)結晶片岩や超苦鉄質岩(蛇紋岩)といった脆く崩れやすい岩石も分布するが、それらが土石流の直接的な発生要因ではない。



地質年代