温泉名 湯屋温泉 ゆやおんせん
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所在地 下呂市小坂町湯屋
源泉最高温度 8.2℃(平22)
泉質 二酸化炭素泉
pH 6.3
概要    濃飛流紋岩のNOHI-3に属する下呂火山灰流シート内にあり、おそらく北東~南西方向に延びる断層沿いに湧出していると考えられる。別名「サイダー泉」と呼ばれるほど炭酸泉としての特徴をもち、飲用することで胃腸病によく効くとされ、県内で最初に飲用許可が出た温泉でもある。温泉街には飲泉場があり、自由に源泉を飲むことができ、炭酸泉を利用した粥は“鉱泉粥”と呼ばれて、旅館での料理や土産品として人気があり、地元では古くから冬季に無病息災を祈ってこれを食べる習慣がある。鉄分を含むことで、空気に触れて赤褐色を呈する。北東側の尾根を隔てた反対側にほぼ同じ地質環境・泉質をもつ下島(したじま)温泉がある。
ジオ点描    サイダーは炭酸水に砂糖,酸味料,香料などを加えた飲料であり、含まれる炭酸水が飲用時に清涼感をもたらす。それと同じ舌触りがすることで、二酸化炭素(炭酸ガス)の含有量が多い温泉を「サイダー泉」と称して浴用ばかりでなく、飲用としても活用されている。泉温が高くなると二酸化炭素が溶け込みにくくなるために火山地帯には炭酸泉は少ないとされ、ここでも火山との直接的な関係はみられない。
写真 小坂町湯屋にある湯屋温泉の飲泉場
(撮影:岩田 修)
写真 準備中
濃飛流紋岩
濃飛流紋岩は、岐阜県の南東端にあたる恵那山(標高2191m)付近から北部の飛騨市古川町付近へかけて、幅約35km、延長約100kmにわたり北西~南東方向にのび、岐阜県の約1/4の面積を占める巨大な岩体である。この岩体を構成する岩石のほとんどは、火砕流として流れ出た火山砕屑物がたまって形成された火砕流堆積物からなり、しかもその大部分は堅硬に固結した溶結凝灰岩になっており、厚さ数百mで、水平方向へ20~60kmの広がりをもち、岩相・岩質が類似した火山灰流シートとして何枚にもわたって重なりあっている。それらは大きく6つの活動期(NOHI-1~NOHI-6)に区分されており、岐阜県内にはNOHI-6だけが分布しない。これらの火山岩類には花崗岩類が密接にともなわれ、それらを含めて大きく2期(第1期火成岩類・第2期火成岩類)に分けられる火山-深成複合岩体を形成している。第1期の活動は白亜紀後期の約8,500万~8,000万年前にあり、NOHI-1とNOHI-2の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。第2期の活動は約7,500万~6,800万年前にあり、NOHI-3~NOHI-5(おそらくNOHI-6)の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。これらは活動の場所を南部から北部へと移しながら巨大な火山岩体を作り上げた。
下呂火山灰流シート
濃飛流紋岩の岩体南縁部を除くほぼ全域にわたり分布し、NOHI-3の主体をなすとともに濃飛流紋岩の中で最大規模の火山灰流シートであり、最大層厚は1,000m以上もある。下部で流紋岩質の、上部で流紋デイサイト質の溶結凝灰岩からなり、岩体北部ではそのさらに上部に流紋岩質の溶結凝灰岩をともなう。これらの岩相間の関係は漸移的であり、場所によっては繰り返して出現することもある。流紋岩質の溶結凝灰岩は、径4~6mmの粗粒の斜長石・石英・カリ長石を多量に含み、苦鉄質鉱物として黒雲母・角閃石・不透明鉱物をを含む。長径数~十数cmの大型の本質岩片を多量に含む。流紋デイサイト質の溶結凝灰岩は、径3~5mmの粗粒の斜長石・石英を多く含み、苦鉄質鉱物として黒雲母・角閃石・輝石・不透明鉱物を比較的多く含む。いずれの溶結凝灰岩も長径10cmを超える大型の本質岩片を多量に含み、その中に径1cmを超える粗粒斜長石斑晶を多量に含むことを特徴とする。上部の流紋岩質溶結凝灰岩は下部のものに比べて本質岩片が径1cmほどと小型になる。

下島温泉
濃飛流紋岩のNOHI-3に属する下呂火山灰流シートおよびNOHI-4に属する高樽火山灰流シートの分布域にあり、おそらく両者を境する北西~南東方向に延びる断層沿いに湧出していると考えられる。遊離炭酸を多く含むことを特徴とし、湯屋温泉の泉質によく似ており、古くから「傷湯」の異名を持つ。

地質年代