対象物 | 長良川流域の環流丘陵 | ながらがわりゅういきのかんりゅうきゅうりょう |
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場所 | 郡上市八幡町西乙原/郡上市美並町赤池・根村・立花/関市洞戸町大野 | |
概要 | 山間部において大地の隆起量がそれほど大きくないと、河川は平野部と同様に横へ削ることで谷を広げるように蛇行して流れる。これを穿入(せんにゅう)蛇行という。蛇行が極端になって流路が短絡すると、平野部における三日月湖のように蛇行部分が流路から切り離されて低地として残り、その低地に囲まれるように残丘ができる。これが「環流丘陵」である。ただし、山間部では隆起量が少ないとはいえ決して沈降域ではない点が平野部の蛇行と異なり、流路跡は現流路よりも高い位置にあって集落や田畑などの生活の場になることが多い。郡上八幡より下流の長良川中流域やそれに美濃市で合流する板取川下流域には環流丘陵が現流路に沿っていくつか分布している。この地域には美濃帯堆積岩類が分布しており、そのなかで浸食に対する抵抗力の強いチャートが選択的に環流丘陵として残されていると思われがちであるが、規模の大きい場合には必ずしもそれはあてはまらない。 | |
ジオ点描 | 環流丘陵はその形成過程からみると隆起量の少ない地域で形成されると考えられるが、必ずしも隆起量の多い地域では形成されにくいというわけではない。隆起速度の資料からみると一概に隆起量の大小と環流丘陵の分布頻度がうまく一致しているとはいえず、隆起量の差異よりも意外にも地質の硬軟といった地質環境の差異の方が影響している場合もありそうで、一義的な要因では説明できないようである。 | |
文献 |
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写真 | 郡上市八幡町西乙原における環流丘陵 (撮影:藤岡比呂志) |
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写真 | 郡上市美並町根村における環流丘陵 (撮影:藤岡比呂志) |