対象物 傘岩 かさいわ
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場所 恵那市大井町奥戸
指定者
指定年月日 1934(昭9)年1月22日
概要    苗木花崗岩が広く分布する木曽川流域の恵那峡において、その南岸の高台にある奇岩が指定されている。花崗岩が受けたマサ化の進行具合に差異があり、それにより削られ方が異なることで偶然作られた形であり、数十cmしかないくびれた下部から上部へ直径約3.3mに開いた逆円錐形をしたキノコの傘のような形をなし、高さが約4.5mある。すぐ隣には「千畳敷岩」と呼ばれる苗木花崗岩の平らな一枚岩が広がっている。さらにそこから木曽川をはさんで対岸に見える橙色の巨大な岩壁(高さ約27m、幅約18m)が「紅岩(べにいわ)」であり、苗木花崗岩の表面にダイダイゴケ属の一種が寄生しているもので、これは植物として岐阜県指定の天然記念物(1962(昭37)年2月12日指定)となっている。
ジオ点描    花崗岩のマサ化は地表での温度変化による膨張差でもたらされるから、理屈からすると地表から地下へ向かって地表面に平行に進行していくはずである。これは自然界が均質であり、作用が均等に働くことを前提としているから、前提が崩れるとマサ化も不規則に進行していってもおかしくない。その方が自然と考えるべきであり、不規則がもたらす偶然の産物はいろいろなものを造りだす。
文献
  • 写真 恵那市大井町奥戸にある傘岩
    (撮影:小井土由光)
    写真 傘岩に近接してある千畳敷岩
    (撮影:小井土由光)
    苗木花崗岩
    中津川市苗木付近を中心に濃飛流紋岩の分布域の南部に広く分布し、中央部においても濃飛流紋岩の地下に広く伏在して分布する。濃飛流紋岩の少なくともNOHI-5までを貫き、NOHI-3、NOHI-4およびNOHI-5と火山-深成複合岩体を形成していると考えられている。塊状で、一部斑状の細粒~粗粒黒雲母花崗岩および角閃石含有黒雲母花崗岩からなり、放射線で黒~暗灰色になった石英を多く含み、脈状ないし晶洞状のペグマタイトに富むことを特徴とする。
    恵那峡
    1924(大13)年に木曽川水系で最初に作られた大井ダムが木曽川を堰き止めて作った人造湖を利用した峡谷であり、ダム湖百選にも選ばれている。約12kmにわたる湛水域の両岸に露出する岩盤は苗木花崗岩であり、花崗岩の方状節理と適度な風化作用によりもたらされた奇岩に、屏風岩、軍艦岩、獅子岩、鏡岩などいろいろな名称がつけられている。それらと湖面がつくりだす景観を遊覧船から眺められることで人気が高い。
    マサ化
    地下で固結した花崗岩が地表に露出したことで気温の変化により岩石の表面で膨張収縮をわずかながらでも繰り返し、岩石中の鉱物が互いに接している完晶質岩であるために膨張率の違いが鉱物単位で歪みを生じ、ばらばらにされて砂状に破壊されていく現象である。もともとは「真砂土(まさど・まさつち)」という園芸用土壌の用語として使われているが、それをもたらす風化作用に拡大して使われるようになっている。


    地質年代