対象物 重ね岩 かさねいわ
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場所 川辺町鹿塩(かしお)平曽(ひらそ)
指定者 川辺町
指定年月日 1978(昭53)年10月1日
概要    川辺町鹿塩地域に広く分布する瑞浪層群蜂屋累層を構成する火山角礫岩がつくる高さ約6m、径約5mの岩塊が指定されている。岩塊に挟まれている薄い凝灰質砂岩層が風化して削られたことで火山角礫岩の岩塊が2つ重なっているように見えることで名づけられているようである。火山角礫岩と呼ばれる岩石は、火山噴火の際にいろいろな大きさの火山岩類が放出されて降り積もったり、陸上を流れる火砕流あるいは水中を流れる火砕流として堆積したり、熱い溶岩が水中に流れ出て破砕されて礫の集合体となって堆積したり、火山活動のいろいろな場面で形成される堆積物である。それらがいろいろな大きさの火山由来の岩塊が積み重なった状態の集合体をなしていることも名称の由来になっているのであろう。
ジオ点描    火山から噴出して堆積物として残される物はほとんど液体と固体である。そのうち液体は溶岩として固まったものであるから、一部を除いて比較的均質で単純な顔つきのものになりがちであるが、固体においては様子がかなり異なる。さまざまな大きさのものが噴出し、それらがさまざまの様式で移動し、さらに堆積する場所の条件もさまざまである。きわめて多岐にわたる顔つきを作り出す宿命を持っている。
文献
  • 写真 川辺町鹿塩にある重ね岩
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 準備中
    瑞浪層群
    新第三紀の中新世に西南日本の古瀬戸内海と呼ばれる海に堆積した地層群の一つで、岐阜県の中濃地方から東濃地方へかけての可児・瑞浪・岩村の3地域に分かれて分布する。可児地域では下位から蜂屋累層、中村累層、平牧累層に、瑞浪地域では同じく土岐夾炭累層、本郷累層、明世累層、生俵累層に、岩村地域では同じく阿木累層、遠山累層にそれぞれ区分されている。これらは、大きくみると淡水域から汽水域、海域へと堆積環境が変化していったが、設楽層群などの他地域に分布する地層群に比べると浅海性の傾向がみられる。
    蜂屋累層
    可児地域に分布する瑞浪層群のうち下部層を構成し、瑞浪層群全体としても最下部層をなす。美濃加茂市南部に広く分布し、おもに安山岩質~玄武岩質の火砕岩・水中自破砕溶岩・貫入岩などからなり、凝灰質砂岩や凝灰質シルト岩などの湖沼性堆積岩層をともなう。火山活動は浅い水中で起こり、火砕岩類のほとんどはマグマ水蒸気爆発により形成されたと考えられている。層厚は約300mである。
    火砕流
    火山噴火において噴煙と同じものが溶岩のように地面に沿って流れる現象である。噴煙の中には火山灰(ガラス片)のほかにマグマのかけらに相当する軽石や噴火の際に取り込まれる既存の岩石などが入っており、それらの固体をまとめて火山砕屑物といい、それらが火山ガス(ほとんど水蒸気)と混ざった状態で地表面に沿って流れる現象である。これによってもたらされた堆積物を火砕流堆積物という。火砕流はきわめて流動性に富む状態で運ばれるために、高温状態のまま高速で運ばれることになり、溶岩流などの噴火現象に比べるとはるかに危険な現象と理解しておかなければならない。


    地質年代