対象物 福地化石標本 ふくじかせきひょうほん
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場所 高山市奥飛騨温泉郷福地
指定者 岐阜県
指定年月日 1975(昭50)年7月1日
概要    奥飛騨温泉郷の福地在住であった故山腰 悟氏が、福地周辺に分布する飛騨外縁帯構成岩類古生代デボン紀石炭紀ペルム紀の地層から収集した海成動物化石標本のうち典型的な化石100点が選ばれ指定されている。以前は同氏が開設した『ひだ自然館』にこれらの化石が展示されていたが、同館が閉鎖されたことでそれらが当時の上宝(かみたから)村に寄付されて、地元の協力を得て福地にある『昔ばなしの里』の2階にある福地化石館に移されて収められている。
ジオ点描    “福地”といえば化石というほど、日本における代表的な古生代の化石産地であり、しかも貴重な化石が数多く産出している。それらを地元にあって収集に努められた故山腰 悟氏の果たした役割は大きく、多大な功績を残されている。化石ばかりでなく鉱物においても地元の収集家が貴重なコレクションとして学術的財産を残されていることは記憶しておくべきである。
文献
  • 写真 福地化石館に展示されているハチノスサンゴ
    撮影:小井土由光)
    写真 準備中
    福地化石館
    福地在住の故山腰 悟氏が1960年代から収集された福地地域の化石は、その一部が岐阜県指定の天然記念物「福地化石標本」にもなっており、私設博物館「ひだ自然館」に展示公開されていた。そこが2001(平13)年に閉館したため、貴重な化石類は当時の上宝(かみたから)村に寄贈され、それらを再展示している施設である。展示規模はかなり縮小されているが、散逸せずに保存されたことの意義は大きい。
    飛騨外縁帯構成岩類
    飛騨外縁帯は、飛騨帯の南側を取りまくように幅数~30kmほどで細長く分布する地質帯である。岐阜県地域では飛騨山脈の槍ヶ岳(標高3180m)付近から高山市の奥飛騨温泉郷、丹生川町北部~国府町地域、清見町楢谷(ならだに)、郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)などに断片的に配列して露出している。そこを構成している岩石はかなり変化に富み、古生代に形成された非変成の砕屑岩類や火山岩類、結晶片岩などからなる変成岩類、超苦鉄質岩(U)から変化した蛇紋岩と呼ばれる岩石などである。これらの岩石は、飛騨帯構成岩類を一部に含めた当時の大陸(中朝地塊と呼ばれる)の東縁で形成された陸棚や浅海性の堆積物および火山砕屑物が中生代ジュラ紀中ごろまでに大規模な横ずれ運動をともなって飛騨帯構成岩類と接するようになり、その過程でもたらされた変成岩類や超苦鉄質岩を断片的にともなって形成されたと考えられている。ただし、飛騨外縁帯と飛騨帯との間には、富山県地域や新潟県地域などにおいて宇奈月帯あるいは蓮華帯と呼ばれる変成岩類で構成された地帯が分布しており、岐阜県地域においてもそれらとよく似た性質の岩石が断片的に分布するが、よくわかっていない点もあるため、ここではすべて飛騨外縁帯の構成岩類として扱う。



    地質年代