地名 平湯大滝 ひらゆおおたき
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場所 高山市奥飛騨温泉郷平湯
指定等 日本の滝百選/県名水50選
概要    高原川の最上流部にあたる大滝川が乗鞍岳(標高3,026m)の北斜面から流れ下り、その途中に架かる落差約64m、幅約6mの名瀑である。水量が多いことでダイナミックな滝として知られ、冬季の氷瀑としてもよく知られている。乗鞍火山の最北端にあたる四ツ岳(標高2,751m)を構成する四ツ岳火山の「四ツ岳溶岩ドーム」として噴出し、北方へ流れ出た安山岩質溶岩のほぼ末端にあたる位置にこの滝が架かっており、落下する岩壁に溶岩断面の様子が観察できる。周囲は平湯大滝公園として整備されおり、紅葉の名所となっている。
ジオ点描 【火山体内の瀑布に共通】 瀑布というとほぼ垂直に落下するものを思い浮かべることが多い。とりわけ火山体の中に架かる場合にはほとんどがこれにあたる。降雨などの水量が多くなる立地環境に加えて、火山噴出物の中に相対的に堅硬な溶岩層などと軟弱な火山砕屑岩層などが積み重なっている場合がしばしばあり、削剥への抵抗力が極端に異なる地質環境が備わっているからである。
文献
  • 中野 俊・大塚 勉・足立 守・原山 智・吉岡敏和(1995)乗鞍岳地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,139頁.
  • 写真 奥飛騨温泉郷平湯にある平湯大滝
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 準備中
    乗鞍火山
    飛騨山脈に沿ってほぼ南北方向に配列する乗鞍火山列あるいは乗鞍火山帯と呼ばれる火山群の一つで、複数の火山体が集まって復元総噴出量約26km³の複合火山を形成している。活動時期から大きく約128万~86万年前に活動した古期乗鞍火山と約32万年前以降に活動した新期乗鞍火山に分けられており、前者には千町火山が、後者には烏帽子火山、高天ヶ原・権現池火山、四ツ岳火山、恵比寿火山がそれぞれ該当している。これらのうち権現池火山だけが最新の活動をしている。全体に火砕流堆積物や降下火砕堆積物などの火砕物が少なく、安山岩質ないしデイサイト質の厚い溶岩流が主体を占めることで特徴付けられ、基盤岩類の分布高度が標高2400mまで確認され、噴出物の厚さは600~700mほどしかない。
    四ツ岳火山
    乗鞍火山のうち新期乗鞍火山の初期に活動した烏帽子火山が浸食され、火山体が崩壊した後に形成された凹地を埋めて恵比寿火山とともに活動した火山で、四ツ岳溶岩ドームを構成し、そこから北方へ向かって平湯大滝付近まで流出した四ツ岳溶岩(体積約0.26km³)からなる火山体である。角閃石と輝石類を含む安山岩質の溶岩流からなる。



    地質年代