地名 恵那峡 えなきょう
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場所 恵那市/中津川市
指定等 飛騨木曽川国定公園/県立自然公園/飛騨・美濃紅葉33選
概要    1924(大13)年に木曽川水系で最初に作られた大井ダムにより木曽川が堰き止められて作られた人造湖を利用した峡谷である。約12kmにわたる湛水域の両岸に露出する岩盤は苗木花崗岩であり、花崗岩の方状節理に適度な風化作用がからむことで作り出された景観が広がっている。その中で生まれた巨岩・奇岩には屏風岩、軍艦岩、獅子岩、鏡岩などいろいろな名称がつけられている。それらと湖面がつくりだす景観を遊覧船から眺められることで人気が高い景勝地になっており、ダム湖百選にも選ばれている。
ジオ点描    恵那峡は人造湖が作り出した景観ではあるが、仮にダムが建造されていなくても、ここでは花崗岩が造り上げた見ごたえのある景観の広がる深い渓谷であった。恵那峡という名称も大井ダム完成前の1920(大9)年に命名されていることから、大地が造り出した景観に裏打ちされ、そこに湖面が用意されたことで付加価値がつけられて見映えが増幅されて作り出された景勝地ということになる。
文献
  • 写真 木曽川が大井ダムに堰きとめられて作られた恵那峡ダム湖
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 恵那峡の景観
    (撮影:小井土由光)
    大井ダム
    木曽川流域における電源開発の端緒となった最初のダムであり、ダムに付設する大井発電所は日本初のダム式発電所である。当時としては堤高が50mを超える大規模なコンクリートダムであった。堤体を支えている岩盤は濃飛流紋岩のNOHI-1に属する恵那火山灰流シートであり、そのすぐ上流側に広く分布する苗木花崗岩に比べると堅硬な岩盤となっている。このダムによって誕生した人造湖を利用した景勝地が恵那峡であり、ダム湖百選に選定されている。
    苗木花崗岩
    中津川市苗木付近を中心に濃飛流紋岩の分布域の南部に広く分布し、中央部においても濃飛流紋岩の地下に広く伏在して分布する。濃飛流紋岩の少なくともNOHI-5までを貫き、NOHI-3、NOHI-4およびNOHI-5と火山-深成複合岩体を形成していると考えられている。塊状で、一部斑状の細粒~粗粒黒雲母花崗岩および角閃石含有黒雲母花崗岩からなり、放射線で黒~暗灰色になった石英を多く含み、脈状ないし晶洞状のペグマタイトに富むことを特徴とする。
    方状節理
    花崗岩は規模の大きなマグマ溜りが地下に長い時間にわたりとどまり、きわめてゆっくり冷却していく。冷却にともない体積が収縮することで、大きな直方体の箱を積み重ねたように形成される規則的な割れ目のことで、一般にはその間隔は数~数十mと幅広いものとなる。


    地質年代