災害名 7.15豪雨災害 -
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発生年月日 2010(平成22)年7月15日
主要被災地 可児川流域・八百津町周辺
災害要因 梅雨前線の活動による集中豪雨
概要    8時間(16~24時)降水量が八百津町役場で251.5mm、可児市役所で269mmという最大級の豪雨地点を記録し、おもに八百津町周辺における木曽川流域からその支流の可児市周辺における可児川流域にかかるやや広範囲にまたがる地域に発生した集中豪雨による河川氾濫等を特徴とする災害であった。美濃帯堆積岩類からなる周辺山地からの土石流による土砂災害が顕著であり、それにより谷の出口付近において家屋の全壊・半壊が数多く起こった。それらは特定の地質に起因して発生したというよりは、谷に厚く埋積した土砂が短時間のうちに局所的にもたらされた予測の困難な集中豪雨により発生した土石流により起きた災害である。土石流および越水氾濫よる犠牲者4名のほかに行方不明2名、重傷者1名、全壊家屋4戸、半壊家屋3戸、床上浸水75戸という被害であった。
ジオ点描 【栃尾土石流災害と共通】 土砂災害を起こしやすい地質環境はあっても、それを必ず引き起こすような地質条件が備わっている場所はほとんどない。仮に地質条件が備わっているとするなら、そこでは土砂災害がほぼ恒常的に発生してもよいはずであり、発生の予測も容易となる。実際には谷を多量に埋積していた土砂が局所的な集中豪雨により土石流を発生していることが常である。
文献
  • 写真 7・15豪雨災害により八百津町野上で発生した土石流災害の様子
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 準備中
    美濃帯堆積岩類
    美濃帯は、飛騨外縁帯の南側にあってかなり幅広く分布する地質帯で、岐阜県内でも広範囲にわたる地域を占める。そこは、古生代石炭紀から中生代白亜紀最前期にかけての時期にチャート・石灰岩・砂岩・泥岩・礫岩などの海底に堆積した堆積岩類と海底に噴出した緑色岩(玄武岩質火山岩類)でおもに構成されている。下図に示すように、海洋プレートの上に噴出した玄武岩質火山岩類は海底や火山島(海山)を形成して、その上にチャートや石灰岩・珪質泥岩などを徐々に堆積させながら大陸へ向かって年間数cmほどの速さで移動していく。海洋プレートは海溝部で大陸の下へ沈み込んでいくが、堆積物はいっしょに沈み込むことができず、はぎ取られたり、大陸側から運び込まれた砂岩・泥岩などとともに大陸側へ押し付けられ、混じり合って複合体(コンプレックス)を作りあげていく。こうした作用を付加作用といい、それにより形成された堆積物は付加体堆積物と呼ばれ、これまでそれらを総称して「美濃帯中・古生層」、「美濃帯中生層」、「美濃帯堆積岩コンプレックス」などといろいろな表現で呼ばれてきたが、ここではこれらを「美濃帯堆積岩類」と呼ぶ。それらは、それまで順に重なっていた地層が付加作用にともなって低角の断層を境にして屋根瓦のように繰り返して覆うように重なったり、複雑に混じりあったメランジュと呼ばれる地質体を構成し、整然とした地層として順番に連続して重なるようなことがほとんどない。そのため全域にわたり個々の地層名を付して表現することがむずかしいため、ここでは構成岩石の種類(岩相)によって表現する。これらの構成岩石は単独でも複数の組合せでもある程度の大きさを持つ地質体を形成しており、その大きさはcmオーダーの礫からkmオーダーの岩体までさまざまである。これらは岩相、形成時期、形成過程などの類似性から複数の地質ユニットに区分され、ユニット間は衝上断層で接することが多いが、その区分による表現はここでは用いない。





    地質年代