災害名 御嶽火山1979年噴火(災害) -
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発生年月日 1979(昭54)年10月28日
主要被災地 東側山麓
災害要因 噴火内容(水蒸気爆発・降下火砕物)/噴火地点(剣ヶ峰南斜面 地獄谷)
概要    御嶽火山は約2万年前以降、活動のほとんどない比較的静穏な時期を続けていた。そのため当時は“死火山”とされていたが、1979年10月28日に突然の水蒸気爆発が起き、活火山の定義に見直しがなされるきっかけとなった。この活動は午前5時頃に始まり、14時頃に最大となりその後衰退した。噴出物の総量は約20数万トンと推定されており、頂上最高点の剣ヶ峰(標高3,067m)南西にある地獄谷源頭部付近から南東へ500mほどにわたり並ぶ複数の火口列から噴出し、約1,000mの高さまで噴き上げられた噴煙は北東へ向かって流れ、軽井沢や前橋市まで降灰したが、この噴火で直接的に受けた大きな被害はなかった。観測された微細な火山灰はほとんど発泡しておらず、高温のマグマから直接由来したものではなく、地下浅所の既存の低温な岩石から由来したものであった。これと同じ噴火口からは1991(平3)年と2007(平19)年にごく小規模な水蒸気噴火があったようで、火口周辺だけに降灰があった。
ジオ点描    御嶽火山の1979年噴火が起こった当日の午後に親しい地質分野の専門家に噴火の一報を伝える機会があった。最初はこれを冗談とされてまともに受け止めてもらえなかったことを思い出す。それほどプロにとっても意外であり、とても信じられることではなかった。その時まで疑うこともなく信じられていた“死火山”のすがたが衝撃的に暴かれた事件といってもよいものであった。
文献
  • 産業技術総合研究所HP(2013)日本の火山データベース.
  • 気象庁 Web掲載版(2013)日本活火山総覧(第4版).
  • 荒牧重雄(1980)木曽御岳山1979年噴火-噴火の観察と火山灰.御岳山1979年火山活動および被害の調査研究報告,1-3頁.
  • 小林武彦(1980)御岳山1979年火山活動.御岳山1979年火山活動および被害の調査研究報告,4-12頁.
  • 山田直利・小林武彦 (1988) 御嶽山地域の地質.地域地質研究報告 (5万分の1地質図幅) ,地質調査所,136頁.
  • 写真 御嶽火山1979年噴火口の1980(昭55)年11月14日における様子
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 御嶽火山1979年噴火口の1983(昭58)年8月10日における様子
    (撮影:鹿野勘次)
    御嶽火山
    岐阜・長野県境にあって南北約20km、東西約15kmの範囲に広がる山体をなす。それぞれ数万年ほどの活動期間をもつ古期御嶽火山と新期御嶽火山からなり、両者の間に約30万年にわたる静穏期があり、現在も約3万年にわたる静穏期にあたっている。
    活火山
    火山はかつて「活火山・休火山・死火山」と区分されていたが、御嶽火山1979年噴火を契機として2003(平15)年に火山噴火予知連絡会が『概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山』を「活火山」と定義して、それ以外の名称はまったく使用しないことになっている。現在、日本では110個の活火山があり、岐阜県には焼岳火山、アカンダナ火山、乗鞍火山、御嶽火山、白山火山の5つがある。




    地質年代