災害名 御嶽火山2014年噴火(災害) -
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発生年月日 2014(平26)年9月27日
主要被災地 山頂付近
災害要因 噴火内容(水蒸気噴火・降下火砕物)/噴火地点(剣ヶ峰南斜面 地獄谷)
概要    頂上最高点の剣ヶ峰(標高3,067m)の南西側で噴火した御嶽火山1979年噴火のすぐ南西側にあたる地獄谷源頭部付近から噴出した水蒸気噴火であった。噴出物のほとんどは変質した岩片で構成されており、マグマ由来の成分は検出されておらず、噴出物も噴火様式も1979年噴火とほぼ同じであったが、小規模ながら低温の火砕流が発生した点がやや異なっていた。水蒸気噴火においては一般に噴火活動の予兆が少なく、地下で熱水溜まりが何らかの原因で急膨張することでほぼ平常の状態にあったまま突然の噴火にみまわれることが多い。この噴火では、紅葉シーズン最初の週末で好天に恵まれた昼時という山頂付近に多くの登山者が集中する時間帯であったことが災いして、噴火口に近い山頂付近においておもに噴石により58人の登山客が犠牲となった。雲仙普賢岳において1991(平3)年に発生した火砕流により犠牲となった43名を上回る犠牲者がでたことで、第二次大戦後最悪の火山災害となった。
ジオ点描    御嶽火山では1979年噴火も前兆現象が少なく、突然にかなり静かに始まったとされており、2014年噴火もほぼ同様であった。これは水蒸気噴火に共通する特徴のようであるが、すべてがその通りになると思ってはならない。大まかな傾向は似ていても細部では必ず異なる現象がともなわれており、それが致命傷となることもある。だから火山噴火は侮れないのである。
文献
  • 東京大学地震研究所HP(2014)2014年9月27日御嶽山の噴火.
  • 山岡耕春(2015)2014年御嶽山噴火.自然災害科学,33巻,339-346頁.
  • 写真 小秀山から9月28日13時10分に撮影した御嶽火山の噴煙
    (撮影:中田裕一)
    写真 鈴蘭高原から9月29日16時21分に撮影した御嶽火山の噴煙
    (撮影:安江健一)
    御嶽火山1979年噴火
    御嶽火山は約2万年前以降、活動のほとんどない比較的静穏な時期を続けていたため、当時は“死火山”扱いされていたが、1979年に突然の水蒸気爆発が起き、活火山の定義に見直しがなされるきっかけとなった。この活動は午前5時頃の水蒸気爆発に始まり、14時頃に最大となりその後衰退し、噴出物の総量は約20数万トンと推定されている。約1,000mの高さまで噴き上げられた噴煙は北東へ向かって流れ、軽井沢や前橋市まで降灰した。この噴火で直接的に受けた大きな被害はなかった。なお、これと同じ噴火口から1991(平3)年と2007(平19)年にごく小規模な水蒸気噴火があったようで、火口周辺のみ降灰した。
    火砕流
    火山噴火において噴煙と同じものが溶岩のように地面に沿って流れる現象である。噴煙の中には火山灰(ガラス片)のほかにマグマのかけらに相当する軽石や噴火の際に取り込まれる既存の岩石などが入っており、それらの固体をまとめて火山砕屑物といい、それらが火山ガス(ほとんど水蒸気)と混ざった状態で地表面に沿って流れる現象である。これによってもたらされた堆積物を火砕流堆積物という。火砕流はきわめて流動性に富む状態で運ばれるために、高温状態のまま高速で運ばれることになり、溶岩流などの噴火現象に比べるとはるかに危険な現象と理解しておかなければならない。




    地質年代