施設名 | 御母衣ダム | みぼろだむ |
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場所 | 白川村牧 | |
形式 | 傾斜土質遮水壁型ロックフィルダム | |
規模 | 堤高131.0m | |
設置者 | 電源開発(株) | |
完成年 | 1961(昭36)年 | |
概要 | 第二次世界大戦後の電力不足を解消するために国家的プロジェクトとして庄川本流に建設された水力発電専用のダムであり、日本最初の大型ロックフィルダムである。堤体は庄川火山-深成複合岩体のシツ谷層の上に築かれており、庄川沿いに延びているとされる御母衣断層をまたいでいると考えられている。計画段階においても堤体予定地付近の岩盤があまり良好でないことが確認されたことから、外国人専門家の意見などをもとにダム型式の検討がなされ、堤体の支持力として優れ、遮水を確実にする工法としてロックフィルダム型式が採用された。ダム建設により生まれた湛水面積880.0ha(全国3位)の人造湖が「御母衣湖」であり、ダム堤体の上流2kmにあたる湖左岸(西岸)に分布する福島谷花崗岩を堤体材として、同3kmにあたる湖右岸(東岸)に分布する秋町花崗岩の風化部を堤体の土質遮水壁材料としてそれぞれ採掘し、現在もそれらの採掘跡が確認できる。ダム堰堤直下の地下に御母衣発電所が建設されており、最大出力は21.5万kwで日本でも有数の出力を持つ水力発電所であり、中部・近畿地方の電力需要に大きく貢献している。ダム堤体のすぐ下流にある地上施設は発電所ではなく、開閉所などの送電用施設である。その対岸には電源開発のPR施設「MIBOROダムサイドパーク 御母衣電力館」があり、御母衣ダム建設に関連する歴史や資料、水没にまつわる“荘川桜”のエピソード、発電所のしくみなどが紹介・展示されている。 | |
ジオ点描 | 御母衣ダムでは堤体部の基礎が決して十分に堅硬でないために体積の大きいロックフィルダム型式を採用してある。とはいえ堤体が明確に活断層をまたいで建設されていることを忘れてはならない。当時としては“活断層”という概念や知識が無かったこともあるが、現在であればおそらく巨大ダムの建設そのものが許可されないはずであり、それは活断層直上での原子力発電所の建造が許されない理由と同じである。 | |
写真 | 御母衣ダム堤体 (撮影:岩田 修) |
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写真 | 御母衣ダムの堤体を造る福島谷花崗岩の岩塊 (撮影:小井土由光) |