施設名 ささゆりトンネル ささゆりとんねる
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場所 下呂市(ほいど)~金山町八坂(はっさか)
形式 -
規模 全長4,877m
設置者 岐阜県
完成年 2012(平24)年
概要    東海北陸自動車道の郡上八幡IC(郡上市)から下呂市を経て中央自動車道の中津川IC(中津川市)に至る延長約80kmの地域高規格道路「濃飛横断自動車道」が計画されており、その一部として最初に供用された区間にあるトンネルである。飛騨川流域と馬瀬川流域を直線的につなげる役割をもち、国道トンネルとして県内最長で、国道256号のバイパス道路になっている。トンネルのほぼすべてが濃飛流紋岩のNOHI-4に属する高樽(たかだる)火山灰流シート内を貫いており、顕著な活断層の分布も確認されていないことから、かなり堅硬な岩盤中を貫いていると考えてよい。トンネルの名称は、建設工事中は「金山下呂トンネル」と仮称されていたが、供用とともにトンネルの上を越えている「ささゆり峠」に因んで命名されている。
ジオ点描    岐阜県内においてかなり広大な面積を占めて分布する濃飛流紋岩を単一地質体としてみると、その内部を全長が4,000mを越えて貫いている唯一のトンネルとなる。ただし、成因的に関連の深い花崗斑岩類も同一の地質体と考えると、猪臥山(いぶしやま)トンネルと小鳥(おどり)トンネルの2つも実質的に該当し、全部で3つになる。ちなみに同様な内容で該当するダムは県内で4つである。
写真 ささゆりトンネルの馬瀬側入口
(撮影:加藤十良)
写真 準備中
濃飛流紋岩
濃飛流紋岩は、岐阜県の南東端にあたる恵那山(標高2191m)付近から北部の飛騨市古川町付近へかけて、幅約35km、延長約100kmにわたり北西~南東方向にのび、岐阜県の約1/4の面積を占める巨大な岩体である。この岩体を構成する岩石のほとんどは、火砕流として流れ出た火山砕屑物がたまって形成された火砕流堆積物からなり、しかもその大部分は堅硬に固結した溶結凝灰岩になっており、厚さ数百mで、水平方向へ20~60kmの広がりをもち、岩相・岩質が類似した火山灰流シートとして何枚にもわたって重なりあっている。それらは大きく6つの活動期(NOHI-1~NOHI-6)に区分されており、岐阜県内にはNOHI-6だけが分布しない。これらの火山岩類には花崗岩類が密接にともなわれ、それらを含めて大きく2期(第1期火成岩類・第2期火成岩類)に分けられる火山-深成複合岩体を形成している。第1期の活動は白亜紀後期の約8,500万~8,000万年前にあり、NOHI-1とNOHI-2の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。第2期の活動は約7,500万~6,800万年前にあり、NOHI-3~NOHI-5(おそらくNOHI-6)の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。これらは活動の場所を南部から北部へと移しながら巨大な火山岩体を作り上げた。
高樽火山灰流シート
濃飛流紋岩の岩体南部を除くかなり広範囲にほぼ連続して分布し、NOHI-4の主体をなす火山灰流シートである。層厚は約700mである。全体にきわめて均質な流紋岩質の溶結凝灰岩からなり、径2㎜前後の自形性のよい石英結晶を多量に含むこと、基質中に細かな結晶片をあまりともなわず、組成のわりに苦鉄質鉱物(角閃石・黒雲母・不透明鉱物)と斜長石を多く含むことを特徴とする。長径5㎝前後の本質岩片を多量に含み、しばしば明瞭なユータキサイト構造を示す。石質岩片をほとんど含まない。



地質年代