施設名 | 飛騨トンネル | ひだとんねる |
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場所 | 飛騨市河合町栗ヶ谷~白川村萩町 | |
形式 | - | |
規模 | 全長10,710m | |
設置者 | (株)中日本高速道路 | |
完成年 | 2008(平20)年 | |
概要 | 東海北陸自動車道の長大トンネルで、飛騨市河合町と白川村の境界にある籾糠山(もみぬかやま;標高1,744m)の下をほぼ直線的に貫き、道路トンネルとしては日本第3位、世界第12位の長さである。トンネルは河合町側から白川村側に向けて2%の下り勾配であり、断面積16㎡の先進坑(避難坑)と同130㎡の本坑からなる。地表までの最大土被りが1,000mを超えることもあり、長大トンネルにしばしばみられる換気立抗は設置されておらず、車道(本坑)下に換気坑が設けられている。トンネルの西半部をなす白川村側の区間はおもに庄川火山-深成複合岩体の中を、東半部をなす河合町側の区間はおもに飛騨帯構成岩類の中をそれぞれ貫いており、いずれの地域も地質が複雑で変化に富んでいる。長大トンネルを片側から施工するためにトンネル掘削機(TBM)が導入され、先進坑用TBM(愛称「天生(あもう)太郎」;掘削径4.5m)に続いて本坑用TBM(愛称「夢天生2000」;掘削径12.84m)がコンピューター制御によりローラーカッターで掘り進んだが、複雑な地質に加えて土圧と水圧に阻まれてしばしば機能停止となり、「天生太郎」は貫通まで残り310m地点で土圧によりつぶされて停止してしまった。2台のTBMとも最後は本体の側壁部分や外枠部分がトンネルの一部としてそのまま残されることになった。最大湧水量が毎分70トンになるなど当初の予想を超える難工事が続き、掘削開始から貫通まで9年半を要した。 | |
ジオ点描 | 庄川火山-深成複合岩体の中を「天生太郎」が掘削していた際に、ローラーカッターの刃が掘削した岩塊・岩片をかなり頻繁に噛んでしまい、掘削機の進行が阻まれ続けていた。海外では高性能機能を発揮していた掘削機であったが、割れ目の多い日本の地質体とミスマッチを起こしていたとの印象であり、地質環境の複雑さが掘削機の性能に表れた形となっていた。 | |
写真 | 飛騨トンネルの大型掘削機「天生太郎」 (撮影:下畑五夫) |
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写真 | 飛騨トンネルの河合側入口 (撮影:清水辰弥) |