施設名 伊吹山ドライブウェー いぶきやまどらいぶうぇー
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場所 関ヶ原町関ヶ原~滋賀県米原市 伊吹山山頂駐車場
形式 -
規模 全長17km
設置者 日本自動車道(株)
完成年 1965(昭50)年
概要    岐阜・滋賀県境にまたがる日本百名山のひとつである伊吹山(標高1,377m)の山頂北側の9合目付近にある山頂駐車場(標高1,260m)まで登れる自動車専用の有料道路である。ほとんど全線にわたり美濃帯堆積岩類の上を走り、その中で道路標高で約900mより上では終点まですべて石灰岩からなる地域を走る。山頂周辺は石灰岩地帯特有の草本植物や薬草の宝庫として知られ、約350種に及ぶお花畑も広がり、山頂からの濃尾平野や琵琶湖の眺望もすばらしく、冬場の積雪による閉鎖期間を除いて多くの利用者で賑わう。この道路は岐阜県域と滋賀県域を行き来して登っていくが、最後の山頂駐車場は滋賀県側にあり、そこから伊吹山山頂へは西登山道で約40分ほど、中央登山道(ほとんど階段)で約20分ほどそれぞれ歩くと行ける。
ジオ点描    伊吹山は周囲の山地から独立した山体をなしているため、ある程度の標高を超えるとドライブウェーからの視界も広がる。とりわけ石灰岩の分布域に入る標高900m付近を超えるあたりから岐阜県側の東側斜面に入るようになり、岐阜県側の眺望が広がる。そこからは天気さえ良ければ美濃山地や濃尾平野方面の景観が見られるようになる。
写真 伊吹山山頂から望む伊吹山ドライブウエイ
(撮影:鹿野勘次)
写真 準備中
伊吹山
伊吹山系の主峰をなす標高1377mの山(頂上は滋賀県)で、山体の上半部は美濃帯堆積岩類の石灰岩からなり、古生代ペルム紀の海山を覆っていたサンゴ礁を形成していた岩石に相当し、ウミユリやフズリナの化石を多量に含んでいる。平らな広い山頂部周辺はカルスト台地となっており、石灰岩地域特有の植物も多く、“イブキ”を冠する種の植物が数多く自生している。山頂近くまで伊吹山ドライブウェーで行けることもあり、高山植物や薬草の観賞、散策、パノラマ眺望などを求めて多くの人が訪れる。また、中京圏や関西圏から近いこともあり、南斜面をほぼ直登する日帰り登山、夜間登山も盛んに行なわれている。
飛騨帯構成岩類
飛騨帯は、岐阜県の北部から北陸地方へかけての地域に広がる変成岩類と花崗岩類からなる地質帯である。ただし、これらの構成岩類がこの地域のどこにでも分布しているわけではなく、それ以降に形成された岩石類に覆われたり貫かれているために、実際にはかなり限られた地域にだけ分布する。変成岩類は総称して「飛騨片麻岩類」と呼ばれ、それらを形成した広域変成作用の時期についてはいくつかの見解があるが、おおよそ3億年~4億5000万年前(古生代石炭紀・シルル紀・デボン紀)と2億4000万年前ごろの少なくとも2回にわたり重複した変成作用で形成されたとされている。花崗岩類はこれまで「船津花崗岩類」と呼ばれ、1億8000万年前(中生代ジュラ紀)に飛騨外縁帯構成岩類の分布域にまで及ぶ範囲に一斉に貫入したことで飛騨片麻岩類に熱変成作用をもたらしたと考えられてきた。しかし、それらの中には古い年代を示す岩体もあり、一律に扱うことができないことがわかってきたため、それらの形成時期を少なくとも2期に分けて区別するようになった。変成岩類も花崗岩類も複数回におよぶ複雑な過程を経て形成されているために、すべての飛騨帯構成岩類を全域にわたって一定の基準で表現することはかなりむずかしいことから、ここではそれらを「飛騨変成岩類」、「飛騨花崗岩類」と呼び、それぞれを6種類と10種類の岩相に区分することで表現する。そのため1つの岩相で示される岩石の中にも別の変成・深成作用で形成された岩石が含まれている場合もある。
石灰岩
美濃帯堆積岩類の中には、金生山の赤坂石灰岩、舟伏山地域の舟伏山石灰岩、石山地域の石山石灰岩などと呼ばれる比較的大きな石灰岩の岩体が分布しており、石灰石資源として採掘されていたり、場所によっては鍾乳洞地帯を形成している。古生代のペルム紀に形成された緑色岩(玄武岩質火山岩類)からなる海山を覆うサンゴ礁を構成していた石灰質生物の遺骸が集積して形成されたものであり、一般に緑色岩と密接にともなって美濃帯堆積岩類の中では最も古い時期に形成された岩石である。


地質年代