施設名 白山白川郷ホワイトロード はくさんしらかわごうほわいとろーど
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場所 白川村鳩ヶ谷~石川県白山市尾添(おぞう)
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規模 全長33.3km(岐阜県側14.7km)
設置者 岐阜県森林公社(岐阜県側)
完成年 1977(昭52)年
概要    当時の森林開発公団が特定森林地域開発林道事業により1977(昭52)年に開設したスーパー林道の1つで、「白山スーパー林道」として開通した。富山市と石川県小松市を結ぶ国道360号において岐阜・石川県境地域で分断されていた区間をつなげる役割をもつ唯一の自動車道(有料)であり、霊峰白山の北側において景観に恵まれ、標高600~1,450mの山岳地帯を走っていることもあり、ほぼ完全に山岳観光道路として利用さるようになっていた。ところが「林道」では運転に悪いイメージを連想させるとして新愛称が公募され、2015(平27)年からは新愛称のもとで運用されているが、正式には「白山林道」と呼ばれる。立地条件から冬期通行止・夜間通行止などの通行規制がある。岐阜県側から石川県側の蛇谷(じゃだに)沿いにかけてのルートには庄川火山-深成複合岩体の火山岩類が分布し、石川県側に見られる「ふくべの大滝」(落差約86m)などの景勝地はすべてこれらの岩石が作り出す景観である。
ジオ点描    “白山”と名称が付くから白山火山の中あるいはその近くを通る道路と思われがちである。しかし白山火山の噴出物はきわめて薄く、分布範囲もかなり限られているため、実際にはその基盤の岩石が広く分布している“白山連峰”と呼ばれる山岳地帯に道路が通っている。白山の主峰はこのホワイトロードからははるか遠くに望むことのできる程度の場所にあたっている。
写真 白山白川郷ホワイトロードの石川県側にある「栂(とが)の木台展望台」よりみた白山
(撮影:中田裕一)
写真 雪壁をつくる残雪期における岐阜県側の白山白川郷ホワイトロード
(撮影:中田裕一)
庄川火山-深成複合岩体
岐阜県北西部の庄川上流域に約40km×25kmの規模で分布する火山岩類と花崗岩類は、濃飛流紋岩および関連する花崗岩類よりも新しい時期に形成されたものであることが明らかにされ、それらを庄川火山-深成複合岩体と命名して濃飛流紋岩と区別して扱うようになった。ただし、まだ全体にわたる詳細な調査・検討がなされていないため、とくに火山岩類についてはおもに分布域の南部において層序区分がなされているだけであり、それ以外の地域では「未区分火山岩類(S0)」としてある。区分された火山岩類は、下位から、六厩川層、大原谷溶結凝灰岩層、シツ谷層、金谷溶結凝灰岩層、なお谷層、宮谷溶結凝灰岩層に分けられており、前三者が「庄川コールドロン」と呼ばれるコールドロンの外側ユニット(コールドロン外ユニット)を、後三者がコールドロンの内側ユニット(コールドロン内ユニット)をそれぞれ構成している。貫入岩類は、花崗岩ユニットとしてコールドロンの内部および縁辺部を貫いており、それらの産状や岩相上の特徴などから、落部川文象斑岩、白川花崗岩類(鳩ヶ谷・平瀬・森茂岩体)、御母衣環状岩脈の3種類に分けられる。
白山火山
最高峰の御前峰(ごぜんがみね)(標高2702m)と剣ヶ峰(標高2677m)、大汝峰(おおなんじみね)(標高2684m)をあわせて「白山三峰」といい、それらを中心とする安山岩質の溶岩、火砕流堆積物などからなる火山体である。ただし、山頂部付近でも標高2400m付近まで基盤岩類が分布しており、それらの上にきわめて薄く噴出物が覆っているに過ぎない。加賀室火山(約42万~32万年前)、古白山火山(約13万~6万年前)、新白山火山(約4万年前以降)の3つの活動時期に分けられるが、前二者は現在の主峰から離れた周囲の尾根上に残っているだけで、ほとんどが削剥されてしまっている。とりわけ古白山火山は、現在の大汝峰の北側にあたる石川県側の地獄谷付近にあたる位置に標高3000mに達する山頂をもつ成層火山体を形成していたと考えられている。新白山火山は現在の主峰を中心とした火山体を形成しており、岐阜県側では、約4400年前に山頂付近の東側が大規模に崩落したことで馬蹄形の凹地が形成され、その崩落で発生した岩屑なだれによる堆積物が大白川岩屑流堆積物を形成し、約2200年前には山頂部付近から溶岩が東方へ流下して白水滝溶岩を形成し、その末端付近に白水滝がある。最新の活動については事項解説『災害』の項目「白山火山1659年噴火」を参照のこと。



地質年代