地層名 呂瀬層【RO】 ろっせそう
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代表地点 高山市丹生川町呂瀬金山南方 森部谷川沿い
形成時期 デボン紀
概要    丹生川町北部~国府町地域に分布する飛騨外縁帯構成岩類の一つで、丹生川町呂瀬金山南方の森部谷川沿いに大きく弧を描いて東方に張り出した2本の断層にはさまれて東西約200m、南北約1300mの範囲に分布する。珪長質で堅硬な凝灰岩からなり、砂岩や泥岩の薄層をはさみ、層厚は約220mである。その中に後期デボン紀を示す腕足類化石クリプトスピリァーと鱗木化石レプトフロエウムの化石が発見されたことで、これまで森部層古生代ペルム紀)や荒城川層古生代石炭紀)が分布する地域とされた中に、それらより古い地層として区別された。
文献
  • 田沢純一・楊 偉平・三宅幸雄(2000)飛騨外縁帯のデボン系呂瀬層(新称)から産出したCryptospiriferとLeptophloeum.地質学雑誌,106巻,727-735頁.
  • 写真 呂瀬層から産出したデボン紀後期の腕足類化石キルトスピリファ
    (撮影:三宅幸雄)
    写真 呂瀬層から産出したデボン紀後期の麟木化石レプトフレウムロムビクム
    (撮影:三宅幸雄)
    飛騨外縁帯構成岩類
    飛騨外縁帯は、飛騨帯の南側を取りまくように幅数~30kmほどで細長く分布する地質帯である。岐阜県地域では飛騨山脈の槍ヶ岳(標高3180m)付近から高山市の奥飛騨温泉郷、丹生川町北部~国府町地域、清見町楢谷(ならだに)、郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)などに断片的に配列して露出している。そこを構成している岩石はかなり変化に富み、古生代に形成された非変成の砕屑岩類や火山岩類、結晶片岩などからなる変成岩類、超苦鉄質岩(U)から変化した蛇紋岩と呼ばれる岩石などである。これらの岩石は、飛騨帯構成岩類を一部に含めた当時の大陸(中朝地塊と呼ばれる)の東縁で形成された陸棚や浅海性の堆積物および火山砕屑物が中生代ジュラ紀中ごろまでに大規模な横ずれ運動をともなって飛騨帯構成岩類と接するようになり、その過程でもたらされた変成岩類や超苦鉄質岩を断片的にともなって形成されたと考えられている。ただし、飛騨外縁帯と飛騨帯との間には、富山県地域や新潟県地域などにおいて宇奈月帯あるいは蓮華帯と呼ばれる変成岩類で構成された地帯が分布しており、岐阜県地域においてもそれらとよく似た性質の岩石が断片的に分布するが、よくわかっていない点もあるため、ここではすべて飛騨外縁帯の構成岩類として扱う。
    森部層
    丹生川町北部~国府町地域に分布する飛騨外縁帯構成岩類の一つで、高山市中切から丹生川町森部を経て、上宝(かみたから)町堂殿(どうでん)にかけて分布する.泥岩、泥岩砂岩互層、砂岩などからなり、礫岩や石灰岩をともなう陸棚成堆積物であり、層厚は1,430m以上と厚い。基底部に花崗岩の礫をふくむ礫岩がある.一部で変成作用を受け、片理が明瞭である。フズリナやサンゴの化石を含み、荒城川層(古生代石炭紀)を不整合に覆うと考えられている。
    荒城川層
    丹生川町北部~国府町地域に分布する飛騨外縁帯構成岩類の一つで、高山市松本町付近から丹生川町北部を経て、上宝(かみたから)町本郷付近まで分布する。おもに安山岩質~玄武岩質の溶岩や火砕岩類からなり,泥岩層、砂岩層、石灰岩層をともない、層厚は約1,100mである。全体に弱い変成作用を受け、分布域の南西部では片理が明瞭となり、結晶片岩~千枚岩になっている。中部層と上部層には石炭紀前期を示すサンゴ化石などが含まれるが、下部には時代を示す化石が含まれていない。奥飛騨温泉郷地域の一の谷層とおおよそ同時期の堆積物であり、岩相は異なるが、ともに浅海陸棚の堆積物である。


    地質年代