地層名 眼球花崗岩~眼球片麻岩【HG4】 がんきゅうかこうがん~
がんきゅうへんまがん
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代表地点 飛騨市神岡町市街地 高原川河床
形成時期 ペルム紀~三畳紀(約3億~2億4000万年前)
概要    神岡町市街地北東方から数河(すごう)、古川町野口を経て小鳥川流域にかけて、北東~西南西方向に幅1~3km×延長約35kmの狭長な帯状に分布する。花崗岩~花崗閃緑岩質の基質に1cm~数cm大の自形~眼球状のピンク色のカリ長石を含み、分布方向に並んだ片理を示す.圧砕の程度により、基質が比較的粗粒で自形のカリ長石よりなる眼球花崗岩から、基質がより細粒で眼球構造の顕著な眼球片麻岩、さらに細粒化したブラストミロナイト~ウルトラミロナイトに変化する。一部は閃緑岩質の優黒質部を挟む縞状構造を示す。また塊状の粗粒ピンク花崗岩が脈状~プール状に片理を貫き、神岡町北東の伊西(いにし)付近で金木戸(かなきど)方面から延びてくるトーナル岩に貫かれる。
文献
  • 加納 隆・渡辺敬夫(1995)飛騨帯南部神岡鉱山東方の中生代前期花崗岩類の地質と構造.地質学雑誌,101巻,499-514頁.
  • 写真 飛騨市神岡町船津の高原川河床における眼球片麻岩の研磨面
    (撮影:加納 隆)
    写真 飛騨市神岡町東町の高原川河床に露出する眼球片麻岩~眼球花崗岩
    (撮影:加納 隆)
    片理
    結晶片岩に特徴的に表れ、柱状、板状、鱗片状などの結晶が一定方向に並ぶことで生じる縞状(線状片理)あるいは面状(面状片理)に表れる構造。
    ブラストミロナイト~ウルトラミロナイト
    神岡町市街地北東方から小鳥(おどり)川流域にかけて北東~西南西方向に延びて分布する眼球花崗岩~眼球片麻岩にともなって狭長な形で帯状に分布する。眼球片麻岩に比べて圧砕作用による細粒化がいっそう進んだ岩相であり、より円磨度の高いカリ長石の残晶を含む。やや優黒質部と優白質部との縞状構造がみられ、片理が顕著である。
    粗粒ピンク花崗岩
    飛騨市神岡町東方~南方一帯から、高原川および金木戸(かなきど)川流域に広く分布し、これまで「船津花崗岩類」の名で知られてきたものである。おもに粗粒塊状で等粒状~斑状の花崗岩~花崗閃緑岩からなり、淡紅色~赤色のカリ長石を含むことを特徴とし、しばしば閃緑岩~トーナル岩などのやや苦鉄質の岩相と混在する。一部で変形・再結晶などの変成作用を受けており、とりわけ神岡町市街地付近では著しく圧砕作用を受け、片理を示す。同様の変成した花崗岩は飛騨帯各地に分布する。いっぽう、高山市宮川町打保(うつぼ)付近に分布する打保岩体では変形・再結晶があまり見られないことから、同じ岩相を示す岩石でも形成時期にかなり幅があり、2億4000万年前ごろの広域変成作用の時期を挟んで新旧異なる時期の岩相を含んでいる。
    トーナル岩
    広い意味の花崗岩質の岩石を区分する場合、カリ長石が斜長石より多い岩石を狭義の花崗岩、カリ長石と斜長石がほぼ等量の岩石をアダメロ岩、カリ長石が斜長石より少ない岩石を花崗閃緑岩といい、花崗閃緑岩よりさらにカリ長石に乏しい岩石をトーナル岩と呼ぶ。いっしょに含まれる有色鉱物は一般に角閃石か黒雲母で、化学組成としてNa2Oに富み、K2Oに乏しい特徴がある。


    地質年代