火山名 奥飛騨火砕流堆積物【OKp】 おくひだかさいりゅうたいせきぶつ
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代表地点 樅沢岳山頂周辺
形成時期 更新世中期(約30~35万年前)
概要    飛騨山脈の樅沢(もみさわ)岳(標高2,755m)周辺から南方へ蒲田(がまた)川流域や笠谷流域の山腹に分布し、水鉛谷給源火道から噴出して現在の地形に近い河谷に沿って流れた火砕流によりもたらされた堆積物である。推定分布面積70km²以上、推定総噴出量10km³以上、最大層厚約200mで、おもに流紋岩質の溶結凝灰岩からなり、含まれる結晶片は斜長石・石英・黒雲母に富み、柱状の角閃石や輝石をともなう。
文献
  • 原山 智・竹内 誠・中野 俊・佐藤岱生・滝沢文教(1991)槍ヶ岳地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅) ,地質調査所,190頁.
  • 写真 準備中
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    水鉛谷給源火道
    蒲田川左俣谷支流の水鉛谷の南側において奥丸沢花崗岩の中に径約600×500mの規模で楕円形をなして尖塔状の形態をとってそびえ立つ。おもに多斑晶質の花崗斑岩からなり、周縁部に流紋岩質凝灰岩、デイサイト質ないし安山岩質凝灰岩などが分布し、珪長質岩と苦鉄質岩が混ざって縞模様をなす部分も認められる。火山岩類については構成鉱物の化学組成などから奥飛騨火砕流堆積物と同源の産物であることが明らかにされている。
    火砕流
    火山噴火において噴煙と同じものが溶岩のように地面に沿って流れる現象である。噴煙の中には火山灰(ガラス片)のほかにマグマのかけらに相当する軽石や噴火の際に取り込まれる既存の岩石などが入っており、それらの固体をまとめて火山砕屑物といい、それらが火山ガス(ほとんど水蒸気)と混ざった状態で地表面に沿って流れる現象である。これによってもたらされた堆積物を火砕流堆積物という。火砕流はきわめて流動性に富む状態で運ばれるために、高温状態のまま高速で運ばれることになり、溶岩流などの噴火現象に比べるとはるかに危険な現象と理解しておかなければならない。
    溶結凝灰岩
    火砕流によりもたらされた堆積物が溶結作用を受けると、その程度により強溶結、弱溶結、非溶結凝灰岩となり、一般には強溶結凝灰岩をさしていう。おもに火山灰が集まって形成された岩石ではあるが、強く圧密化した岩石となり、きわめて堅硬な岩石となる。


    地質年代