古期御嶽火山
御嶽火山の現在の山体よりも一回り大きな火山体をなして、約80km³におよぶ噴出物からなる成層火山が形成されていたと考えられている。;新期御嶽火山の活動が始まるまでの約30万年におよぶ静穏期にその主体は崩壊してしまい、その上に新期御嶽火山の噴出物が覆ってしまったために、その全容はよくわかっていない。その山麓にあたる部分が、現在の山体の西側にあたる上俵山(かみだわらやま)(標高2077m)西斜面や北側にあたる秋神川上流域などに残されている。残存する部分から復元された火山岩類は、活動前期のおもに降下火砕堆積物や火砕流堆積物からなるテフラで構成されているテフラステージと、活動後期のおもに溶岩層で構成されている溶岩ステージに分けられており、組成は玄武岩質からデイサイト質まで幅広い。
新期御嶽火山
御嶽火山において古期御嶽火山の活動終了後に約30万年にわたる長い静穏期を経て始まった活動で、現在の御嶽火山の中央部を構成する火山体を形成した。それらは活動の前半に形成された継母岳火山群と後半に形成された摩利支天火山群に分けられ、両者はほぼ連続的に起こったようであるが、噴出物の性質は明瞭に異なる。これらの活動では新期御嶽テフラ層と呼ばれる大量の降下火砕堆積物を噴出しており、有効な指標となる広域テフラとして中部・関東地方に広く火山灰層を飛ばしており、隣接する乗鞍火山がおもに溶岩を流出させていることと対照的な活動をしている。なお、その活動経過については、山麓部での降下火砕堆積物の層序解析などから異なる見解も出されている。
地質年代