乗鞍火山
飛騨山脈に沿ってほぼ南北方向に配列する乗鞍火山列あるいは乗鞍火山帯と呼ばれる火山群の一つで、複数の火山体が集まって復元総噴出量約26km³の複合火山を形成している。活動時期から大きく約128万~86万年前に活動した古期乗鞍火山と約32万年前以降に活動した新期乗鞍火山に分けられており、前者には千町火山が、後者には烏帽子火山、高天ヶ原・権現池火山、四ツ岳火山、恵比寿火山がそれぞれ該当している。これらのうち権現池火山だけが最新の活動をしている。全体に火砕流堆積物や降下火砕堆積物などの火砕物が少なく、安山岩質ないしデイサイト質の厚い溶岩流が主体を占めることで特徴付けられ、基盤岩類の分布高度が標高2400mまで確認され、噴出物の厚さは600~700mほどしかない。
烏帽子火山
乗鞍火山のうち新期乗鞍火山としては最初の活動で形成され、千町火山の火山体が崩壊した北半分の地域に形成された火山体である。現在の四ツ岳(標高2751m)と恵比寿岳(標高2831m)~摩利支天岳(標高2872m)の2ヶ所を噴出中心とする標高2800~2900mの複合火山体(復元推定体積は約8km³以上)を形成していたと考えられている。おもに角閃石と輝石類を含む安山岩質の溶岩層からなる。
四ツ岳火山
乗鞍火山のうち新期乗鞍火山の初期に活動した烏帽子火山が浸食され、火山体が崩壊した後に形成された凹地を埋めて恵比寿火山とともに活動した火山で、四ツ岳溶岩ドームを構成し、そこから北方へ向かって平湯大滝付近まで流出した四ツ岳溶岩(体積約0.26km³)からなる火山体である。角閃石と輝石類を含む安山岩質の溶岩流からなる。
地質年代