火山名 焼岳火山群 やけだけかざんぐん
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代表地点 -
形成時期 更新世後期~完新世(約12万~現在)
概要    飛騨山脈の南部にあって、焼岳火山を主峰とする複数の火山体の集まりであり、乗鞍火山帯の中で最近1万年間では最も活発な活動を続けている。形成時期により約12万~7万年前の旧期焼岳火山群と約3万年前以降の新期焼岳火山群に大別され、前者には岩坪山・大棚火山割谷山火山が、後者には白谷山火山アカンダナ火山、焼岳火山がそれぞれ該当する。全体に斜長石と角閃石の斑晶が目立つ安山岩質~デイサイト質の溶岩ドーム、厚い溶岩流、泥流堆積物、火砕流堆積物からなる。火砕流堆積物はすべて溶岩ドームの破壊によってできたblock and ash flow堆積物であり、激しい爆発的な噴火活動はほとんど起きていない。
文献
  • 及川輝樹(2002)焼岳火山群の地質-火山発達史と噴火様式の特徴.地質学雑誌,108巻,615-632頁.
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    焼岳火山
    焼岳火山群の新期焼岳火山群に属する火山体で、その中で最も新しく、現在も活動中の火山である。焼岳(標高2455m)を中心として、いくつかの溶岩、溶岩ドームとそれらにともなわれる火砕岩類からなる。現在の山頂部を作る溶岩ドームは約2,300年前に形成されたものである。歴史時代に入ってからの活動としては、1907(明40)年から1939(昭14)年まで水蒸気爆発が活発に繰り返され、特に1915(大4)年に水蒸気爆発にともない発生した泥流が梓川をせき止めて大正池を作ったことは有名である。最新の活動については事項解説『災害』の項目「焼岳火山噴火」を参照のこと。
    岩坪山・大棚火山
    焼岳火山群の旧期焼岳火山群に属する火山体で、焼岳(標高2455m)の北西方2.5kmほどにある岩坪山(標高1900m)と西方3kmほどにある大棚をそれぞれ噴出中心とする火山である。従来は1つの火山体と考えられていたが、現在は別の火山体とされている。岩坪山火山は溶岩からなり、大棚火山は火砕岩と溶岩からなる。
    割谷山火山
    焼岳火山群の旧期焼岳火山群に属する火山体で、焼岳(標高2455m)の北東方3kmほどにある割谷山(標高2224m)を噴出中心とする火山である。焼岳火山に覆われて、それに分割されるように割谷山周辺と焼岳西方に別れて分布する。前者には溶岩と火砕岩が、後者には溶岩がそれぞれ分布するが、両者の関係は不明である。
    白谷山火山
    焼岳火山群<.a>の新期焼岳火山群に属する火山体で、焼岳(標高2455m)の南西方2.5kmほどにある白谷山(標高2188m)およびその周辺を噴出中心とする火山である。溶岩ドームとその周辺山麓の土石流堆積物や火砕流堆積物からなる。
    アカンダナ火山
    焼岳火山群の最南端にあり、白谷山火山の南側に噴出し、アカンダナ山(標高2109m)を中心として新期焼岳火山群に属する火山体である。溶岩ドーム、溶岩、火砕岩類からなる。火山体のうち、頂上部を含めた岐阜県側で地すべり崩壊した崖がみられる。形成時期が約1万年前とされたことで、新たに定められた活火山の仲間入りをした火山でもある。
    block and ash flow堆積物
    高温の溶岩ドームや溶岩流の一部が崩落することで起こる小型の火砕流により形成される堆積物で、いろいろな大きさの溶岩の岩塊、角礫、岩片などからなる。火山体の斜面上にあって、溶岩自体の爆発や重力などにより崩落を起こすことで発生する。1991(平3)年に雲仙普賢岳で発生した火砕流はこのタイプであり、火砕流の噴火タイプとしてはメラピ型火砕流と呼ばれることもある。

    地質年代