火山名 湯ヶ峰火山【Vyg】 ゆがみねかざん
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代表地点 下呂市小川
形成時期 更新世後期(約12万~10万年前)
概要    下呂温泉の東方にある湯ヶ峰(標高1,066m)の山頂部で溶岩ドームを形成して、径1kmほどのきわめて小さい火山体であり、流理構造をもつ無斑晶質のデイサイト質溶岩からなる。そのマグマがまだ冷えきっていないことで、下呂温泉の熱源になっている可能性が高いと考えられている。また、溶岩のうち黒色で緻密なガラス質のものは「下呂石」,灰色や灰褐色のものは「小川石」とそれぞれ呼ばれている。下呂石は刃物のように硬く鋭い割れ口をもつことから、縄文~弥生時代にかなり広範囲に石器の材料として流布した。小川石は板状に割れるために庭石として利用されている。
文献
  • 山田直利・柴田 賢・佃 栄吉・内海 茂・松本哲一・高木秀雄・赤羽久忠 (1992) 阿寺断層周辺地域の火成岩類の放射年代と断層活動の時期.地質調査所月報,43巻,759-779頁.
  • 写真 下呂温泉街からみた湯ヶ峰火山
    (撮影:小井土由光)
    写真 「ふるさと歴史記念館」前の石塔でみられる湯ヶ峰火山のガラス質溶岩(下呂石)
    (撮影:小井土由光)
    下呂温泉
    江戸時代初期に儒学者林 羅山が有馬温泉、草津温泉とともに日本三名泉に数えたことで知られる温泉であり、そのおもな泉源が濃飛流紋岩の中を通るが阿寺断層系の下呂断層に沿って分布している。下呂断層や湯ヶ峰断層などの阿寺断層系の断層沿いに形成された破砕帯などから地下へしみ込んだ地下水が、湯ヶ峰火山のマグマ溜りで温められ、下呂断層の破砕帯に沿って形成された飛騨川の低所に湧き出していると考えられている。






    地質年代